第5話 男同士の帰り道(BL注意)

「なあ恵吾(けいご)、外国だと男同士で結婚できるらしいな」


 学校からの帰り道、衛(まもる)先輩が道端の石をけりながらそんなことを言った。


「ああ、よく聞く聞きますね、ドーセーコンとか愛し合う二人が一緒にいる権利を認めるだけだー、君たちにの生活に何の影響もないーとか」

「そうそう。有名なのはやっぱ最初に施工されたオランダかな」


 野球サークルらしいエア素振りをしながら、ボクの前を歩きながら、衛先輩がマメ知識を披露する。


「結構ここ最近? ここ数年くらいでフランスとかでも認められたんだとか」

「へえ」

「そんでさ、今ここにフランス行きのチケットが二枚ある。大学もそろそろ夏の長期休暇。んでさ、」


 いきなり振り返って手を握られる。


「そこ行って結婚しねえ? 俺と」

「へ?」

「まあしなくてもいいよ。一緒に旅行行って美味いもん食ってさ、楽しい思い出作ろうぜ? いいだろ?」


 有無を言わさない先輩の背は高く、ボクの顔より高い位置にある。それが屈んだことで近くなって──。


 返事をする前にボクの唇は塞がれた。




 お題:男同士の帰り道 必須要素:フランス

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