"お母さん"と"みつ子"(代名詞と名前の話)

今回は、代名詞と名前の話です。


古いドラマとかの話ですが(向田邦子先生とかの)、

ある中年の女性のキャラクターがちゃんと名前が設定されてるのにも関わらず、作中では『お母さん』と呼ばれているとします。


この『お母さん』というのは、サラリーマンでいう『課長』とか『部長』と一緒で、

ある意味、家庭内における役職名なんですね。

(『おばさん』とかもそうですね。だれだれのお母さんの意味というような)


『お母さん』と呼ばれることで、

女を捨て、母になる…。母という役目を全うするということになります。

先ほどの会社における『部長』とかと同じですね。

代名詞で呼ぶことによって、"個人"を見逃しています。


そこで、あるとき出先のガラス屋の主人(いかにも前時代的だ)に

"みつ子さん"と本名で呼ばれる場合があるとします。


そうするとみつ子は、"お母さん"から"みつ子"になり、女になります。

ガラス屋の主人との不倫関係に向かう展開になったりするわけですね。


このように、代名詞を使うことによって、

役目を強調し、個人を捨てさせ、名前呼びでまた個人を取り戻すようなことができます。


人物の呼ばせ方を工夫することで、表現が広がるんじゃないでしょうか。


(※先生の話を解釈し直して)2017/12/15indo


※追記

ラノベや漫画で生かすなら、

『生徒会長』とか『お姉ちゃん』のような、役割でみられるキャラクターに使える話ですね。










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