ショートストーリー

秋月紅羽

第1話ㅤㅤ蚊ㅤㅤ

 この世でいらない物など居ないなどと、ドラマや漫画など良く語っているが、実際本当にそうだろうか?

 

 僕は、そんな事を考えながら昼下がりの暖かい公園を散歩していた。

 毎日が平凡過ぎて、特別考える事が無いからだ。

 先程まで読んでいた小説に、たまたまそんな話が書かれていた正もあるのかもしれないが。

 

 僕の考えを少し聞いて欲しい、無駄な命など無いと言うが、蚊って何の為に居るのだろう?

 

 確かに、大抵の生き物には役割がある。


蜂は、確かに危ない生き物だが彼等は、蜜を集め人間社会にも貢献されている。

 

 牛や豚などは、言わずとも家畜として人間社会の支えである、寧ろ居なければ困る生き物である。

 

 猿にいたっては、人類の祖先であり、居なければ今の文化は成り立たない。

 

 今あげたのは、ほんの一部であり、人間を中心に考えた事だ。

 

 他にも、沢山の生き物がお互いを支え合い、自然界を豊かにしている。

 

 しかし、蚊は何の為に居るのだ?

 

 人間の血を吸い、鳥や蛙の餌で終る

 しかも、血を吸った後に在ろう事か、奴等は唾液を吐き掛けていくのだ。

 

 何の嫌がらせだろうか?

人様の血をご馳走になりながら、唾液を吐きかけるとわ、言語道断な事である。

 

 何の為に、蚊は存在するのか?

 一度考えだしたら、頭から離れなくなった。

 


僕は、時間を忘れ公園のベンチに腰を下ろし頭から離れなくなった蚊の事を、その日ずっと考えていた。

 

 もしかしたら、蚊は宇宙人が寄越した探索隊なのではないのだろうか?

 血を吸い、その人を分析して唾液により、マーキングしているのではなかろうか?

 

 いずれ行おうとしている地球征服の為に、虎視眈々と地球上の生物のデーターを集めているのでは、ないのだろうか?

 

 そこまで、考えると空は薄らと暗くなってきたので、僕は家路へと足を滑らせた。


僕は、日中の夏の暑さの為に熱くなってしまった部屋を冷やそうと、エアコンと扇風機を当てながら、テレビをみていたのだが、やはり蚊の事が脳裏から離れずに、僕は再び考えていた。

 

 もしかしたら、蚊は探索隊などではなく、エイリアン其の者ではないのだろうか?

 血を吸い子孫を残し、少しずつ仲間を増やしながら進化しているのではないのだろうか?

 

 人間が、猿から進化した

様に、そして仲間が大量になり進化をとげた暁には、人間に代わり地球を征服するつもりではなかろうか?

 

 僕は、蚊エイリアン説をもしかしたら、執筆出来るのではなかろうかとも思ったが、その考えは直ぐに取り止めた、何故なら、マニア過ぎると思ったからである。

 

 そんな時である、僕の血を吸おうと、エイリアンがやって来たのだ。

 僕は、そうはさせるかとテーブルの下に常に常備していた殺虫剤を、血を吸う無礼なエイリアンに向け思いっきり振りまいた。

 

 エイリアンは、力なく一度宙で功を描きながら逃れようとしたが、その計画も無残に絶たれ、エイリアンはそのまま僕の部屋の畳の上で息を引取った。

 

 そして、僕は殺虫剤と言う武器により地球の平和を守ったのだ。

 

 ~FIN~




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