歪な貝殻

愛を憎めない.

「ねえ、世界が終っても、一緒にいてくれる?」


「うん、。」


「すきなの、れいか。」


「私も、大好きよ。」




私が、初めて女性と関係をもったのは、19歳の冬。

ひなこは、とても可愛い女の子だった。

仕事先が同じで、お客様にも、人気があり、愛らしい笑顔が得意で、

私のことを、「好き。」と、言ってくれた。

はじめは、驚いたけれど、彼女はとても、ほんとに、、可愛らしい女の子だったのです。(容姿はもちろんだけど、しぐさや、性格や、話し方など、可愛いという単語が似合う子だったわ。)

ひなこは、一人暮らしで私はひなこの家が好きでした。

ひなこはいつも料理を作ってくれて、私が「私も、頑張って作りたいな」といったら、「れいかは作らないで。れいかの体内にはいるものが私の手から作られたものだと思うだけで、嬉しいの。」と笑っていた。

ひなこは、よく笑う子で、私も、よく笑っていた。

お店で、お客さんと話してる時、ひなこにスタッフルームに呼ばれ、「男の人に愛想あまり振り撒かないで。」と、キスされた時、私は、濡れてしまいました。怖いくらいに、彼女は私を愛してくれました。













「どうして、ひなこは、男の人がいやなの?

ひなこなら、きっと、いくらでも男の人が優しくして大切にしてくれるわよ。」


「・・・どうして」


「え?」


「どうして、そんなくだらない質問をするの?

私は、れいかを愛してる。それだけで、いいじゃない。

どうして、そんな馬鹿な質問をしたの?

もう、私のこと、飽きた?うんざり?

やだ、いやよ。男の人に、こんなキスされたことあるの?


私じゃ、いやなの?」


「そんなこといってないよ。ごめんね、

好きだよ。」




「・・・うそつ、き。」



私は、今になっても、ひなこのその時の瞳が忘れられない。

とても、冷たくて、寂しくて、私がうつっていた(嗚呼、)






















「好きな人ができたの。」


「ふーん。男?」


「うん、ごめんなさい。」


「れいか、私に言ったよね?

愛してるって。

それって、女しかもう愛せない証でしょ?」


「・・・ごめんなさい。」


「れいか、れいかは、後悔するよ。

きっと後悔する。

私のこときっと、忘れられないよ。」


「ひなこ、あのね、ひなこは、私のこと勘違いしてるよ。

私は、ほんと最低な女だから、だから、そのね・・」


「 うるさい。れいかの考えはどうでもいいの。

私はれいかといて、幸せだから、れいかの自分への概念はいいの。


ねえ、れいか。

いいよ、別れてあげる。」


「・・・・うん。」


「これからも、たくさん恋愛して、いいよ。

いろんな男に抱かれても、いいよ。けどね、

れいかと結婚するのは、私。

いい?もう一回言うよ。

れいかと、結婚するのは、私。

たとえどんなことがあっても。私だから。

それだけは、覚えといてね。」



(ここで、「私たちは、女だから、結婚できないよ」とかそんなこと言える怖さではなかったのです。)


気付いた時、私は、ひなこのアドレスをけして、アルバムを全て燃やして、バイト先をやめて、ひなこの連絡手段を全てきったのです。

逃げるように、悪いことでもしたように、脅えて、消えて行きました。





















「全部私が、悪いの。」


「どうして?」


「私が、悪い子だから。」


「れいかは、いい子よ。」


「ううん、私はとても、おかしいの。」


「れいか、れいか、こっちみて?」


「・・・・」


「ふふ、ほら、私の瞳をみて。


いい子がうつってるでしょ?

瞳にうつれたんだから、れいかは、綺麗だよ。


だいすき。私が守ってあげる。

初めて、れいかをみたとき、運命を感じたの。

だから、れいかが一緒に帰ろうっていってくれたとき、

すごく嬉しかったのよ。わかる?この気持ちが。


他人は、わかりあえないけど、私が、貴女をわかってあげる。

理解してあげる。だから、もう、そんな怖がらなくて、自分を嫌いに

ならなくて、いいのよ。」







((貴女が、くれた時間も、温度も、全て、


        怖かったんです。))



裏切られる前に、裏切って生きては、いけませんか 。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

歪な貝殻 @sindemoii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る