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カゲトモ
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信号が目の前で青に変わる。最近は割と天気が良い日が続いていて、昼間はセーターを一枚着ていれば外出することが出来る。上着もマフラーもなく、セーターにジーンズ、財布とスマホだけポケットに突っ込んで歩けるこの身軽さは、春と秋だけの特別だ。
気持ちがいい。
陽の暖かさも、風の温度も、落ち葉の雨も。呼吸が楽しくなるくらい、心地がいい。気になるのは乾燥だけか。
今日は電車をやめて、徒歩で向かうことにした。目的地は、天婦羅屋。一つ一つ目の前で揚げてくれて、熱々で食べることが出来る店だ。絶品故に価格もお高めのその店は、ランチでは数量限定で御安い定食を出している。まぁお安いと言っても、ディナーに比べれば、だけれど。
今日はその天婦羅ランチを食べるべく、早めに家を出ていた。もともと天気がいいのも知っていたし、散歩がてら歩いて行こうと思っていたから。
ちゃんと身体は動かしておかないと。
いつまでも若いと思っていたら、そうでもないのだ。三十と言っても身体は徐々に衰えるわけで。代謝がどんどん下がる訳で・・・。
バーのオーナーとして恥ずかしくない体型でいたいと思うが、ジムに行くのは面倒だし、かと言って買ってみた健康グッズは物置に追いやられるし。結局ちょっとした筋トレと、こうやって散歩するのが一番合っているのだ。無理はいけない、出来る範囲で努力する。これ、大事。
「お」
ラッキー。また信号が目の前で青に変わった。調子よく進んでいる。この調子なら余裕で天婦羅ランチを食べられそうだ。ビジネス街にある小さなその店は、サラリーマンやOLでランチ時はいつも一杯だから。食べられなかった時ももちろんある。入店すら出来ない時もある。その時に諦めて食べる他のランチの悲しさよ。美味しいのにとても残念な気分になる。
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