第46話 嵐のような

【無断欠勤】

佐山さんがやってきて、2週間ちょっとのある日、始業の時間になっても佐山さんが現れません。


予定表を見ても、佐山さんがお休みだとは入っていません。

お昼休みになっても現れません。


加藤さん「岡部さん、佐山さんって、今日お休みなんですか?」

岡部さん「私も何も聞いてなくて」


岡部さん「課長に訊いても『いいから』だけで」

加藤さん「無断欠勤なんですかね?」



【フェードアウト】

佐山さんが来なくなって、3日目。昼休み後に全員が集められました。


宇野課長「佐山さんですが、辞められることになりました」

課長の言葉に、「やっぱり」という空気が流れます。


解散後、おのおの自分の仕事へ戻ります。

言いたいことはありますが、出してしまえばより雰囲気が悪くなるだけです。


(無断欠勤からのフェードアウトって無いわ)思うだけに留めておきました。



【余波】

佐山が辞める発表の翌日の昼休み、話題はそちらの方へ。

加藤さん「佐山さんと同じ派遣元の人っているんですか?」


藤沢さん「私は違いますよ」

菊永さん「私も」


加藤さん「佐山さんの派遣会社は、今後取引しにくいでしょうね」


菊永さん「派遣なんて、色々な所に登録してて、たまたまそこから紹介があった、ってだけなんですけどね」



【嵐の影響】

岡部さん「私、今度の更新せずに、辞めることにしたんです」


加藤さん「どうしたんですか?」

岡部さん「佐山さんのことで、課長に不信感を抱いてしまって」


岡部さん「課長にお休みをって話をしても、『佐山さんと調整して』で、いやいや違うでしょって。なんで私が休むのに、佐山さんの許可が必要なのって」


藤沢さん「それは……、無いですね」

加藤さん「たった 3週間で、すごい爪痕残して行ってくれましたね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る