第27話 免許皆伝

【一人で解析】

朝から、昨日のサンプルの解析を行う加藤さん。

藤沢さんは別の測定のため、解析した後はこの前のサンプル整理の続きです。


サンプル整理をしているところに、藤沢さんが声を掛けにやってきてくれました。

藤沢さん「加藤さん、解析結果はどうでした?」


加藤さん「標準サンプルは、範囲に入っていました。後のはこんな感じで」

加藤さんがメモした結果と、ノートを見比べる藤沢さん。


藤沢さん「うん、大丈夫。合格です」

加藤さん「ありがとうございます」



【違っていたら】

加藤さん「もし、藤沢さんの結果と違っていたらどうなったんですか?」

藤沢さん「まずは液クロのデータを見直して、解析で躓いていないかの確認ですね」


加藤さん「解析に問題がないようでしたら?」

藤沢さん「手順を確認しながら、サンプリングからもう一度ですね」


加藤さん「それで、私の方が再現した場合は?」

藤沢さん「私と一緒に、二人でやり直しですね」


加藤さん「そうならなくてよかったです」



【免許皆伝】

藤沢さん「じゃあ、これを課長に持って行ってください」

紙を差し出されます。


加藤さん「これは、なんですか?」

藤沢さん「教育訓練記録です。誰がいつどの分析を教えて、テスト分析で合格したという記録です」


藤沢さん「標準サンプル一回と、n=3エヌさんと、前任者の過去の分析との一致、この三回を合格すれば、免許皆伝で依頼分析をできます」

合格した記録がここねと、指で示してくれます。


藤沢さん「ただ、ちゃんと課長に登録してもらわないといけませんので、登録してもらってください」



【エキスパート】

教育訓練記録を、宇野課長へと提出します。

加藤さん「課長、藤沢さんから合格をもらいました」


宇野課長「お疲れ様でした。一覧を更新しないと、いけませんね」

名前と分性手法が表になって、△○◎が記載されています。


加藤さん「この記号はなんですか?」

宇野課長「分析の習熟度です。空欄は経験なし、三角は経験が浅い、は充分に経験がある、二重丸は教えることができるレベルです」


表を眺める加藤さん。ほとんどが穴抜けだらけですが、内田さんだけ○と◎がずらっと並んでいます。

加藤さん「内田さん、すごいですね」

宇野課長「彼女はエキスパートですから」

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