第28話:Ride the sky
「新マシンか!いいね、やる気じゃねぇか!」
「うん!いろいろお兄さんのこともわかったし、俄然やる気でちゃいました!なので、壊れちゃったパーツから使えそうなものを抜き出して、この新しいマシンで組みたいんです」
みかどの手にはジョニーからもらったライズエンペラーが握られている。
「ライズエンペラー!プラボディはやはりいいですよー!」
「一緒に強化MSももらったんですね……ということはやっぱりフレキでござるか?」
「うん、できたら。いままで見てきたマシンでも、やっぱりあたしの目標はナツさん。すごいマシンを作って彼女のスタイルをさらに超えて行きたい!」
しばし考え込む部員たち。
「フレキって、あったしやナツみたいな減衰式と前の超帝みたいなゆるめのものとあるけどぉ?」
「うーん……」
「そもそもライズエンペラーはMA用だぜ?MAでいったほうがいいんじゃねぇか?」
「うーん……」
「あおいちゃんのS2ホエイルすごかったでござるよ!?」
「うーん……」
「ジョニーさんのアクアもすごかったのである……作るのが難しそうであるが」
「うーん…………」
なかなか方向性が決まらない。
いままで出会ったライバルたち。
彼らを凌駕できるような、そんなマシンが簡単に決まるハズもないのだが。
「そんなときわぁ、トレサスだよぉ」
店の入り口を見てみると、生徒会長、金田が立っていた。
いつも通り、三歩後ろには副会長が控えている。
「あ、会長、お久しぶりです」
「やぁひさしぶりぃ。キミらコースの新設時以降、なにも申請とかなかったから活動してるのか、心配してたんだぞぅ」
「あんまりタカるのもわりぃかなって思ってさ。自分のマシンだし、出来る限りは自分たちでどうにかしたいのさ」
「ならいいんだけどねぇ……あ、大会は残念だったねぇ。みかどくんは息災かなぁ?」
大会でみかどのマシンに何があったのかをすでに把握しているらしい。
もしかして情けない顔を見られたのではないだろうか?と、みかどは顔を赤くした。
「はい!大丈夫です。ご心配おかけしました」
「そぅかぃ、よかったぁ……で、キミら、そのみかどくんの新マシンの相談をしてるんだよねぇ?」
「はい……あでもトレサスはちょっと敷居が……」
まあそれは色々と考える余地があるよね、と会長はうなづく。
そしてそれはさておき、とひとつ咳払いをした。
「突然だけど、君たち、合宿とかしてみないかぃ?」
「合宿……だと……!?」
「あぁ。ぼくんちで持ってる施設があるからみなで使うといいよぉ。なんなら京商の連中も呼んでいいさぁ」
「なるほど……合同合宿ですね!すごいです、楽しそうです!!」
「さすが会長太っ腹!!」
「ふふ……ちなみにコースも持っていけるからしっかりとした合宿ができるとおもうよぉ」
「なにからなにまで……ほんとにいいんですか?」
「あー、うん、そこで1つお願いがあってだなぁ……そのぉ……なんだぁ……」
「会長、しっかり!!」
会長が言い澱み、副会長が隣でエールを送る。
「あぁうん、ぼくらも参加して……いいかぃ?」
「副会長さんもですよね!うん!みんなで行きましょう♪わぁーい、みんなで合宿だぁ!」
「そうと決まればナツたちにも連絡しておくぜ!夏休みの中頃あたりでいいよな?」
「「「「「はーい!」」」」」
「やったぁー♪嬉しくって今ならほんとに飛べそう!!ぎぶみーういーんぐす、とぅーふらーい ♪」
「……みかどちん、メタラーだったっけ……?」
かくしてミニ四駆部と生徒会、京商美術部による合同合宿が開かれることになったのだ。
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用語解説:
・メタラー
ヘビーメタルが好きな輩の総称。
日本人には隠れメタラーが結構多い。
「give me wings to fly」はジャーマンメタルバンド「Helloween」の「Ride the sky」のサビのフレーズ。
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