第33話

「ご存じでしたか……」

「テレビじゃ、全部、アイツの自殺の事で持ちきりだからねェ……」

 ざまを見ろと言う感じだった。


「いえ、お言葉ですが自殺ではありません」

 なおもリオが毅然として応えた。


「フゥ…ン……」

 祖父母は視線を外した。


「胸部を刺されたのが致命傷です」

 冨田がタブレットで説明した。


 だが、祖父母は見向きもしない。

「その後、ご丁寧に校舎の4階まで首を吊ったように引き上げたようです」


「フン、可笑しいじゃないか?」

 祖父は、嘲るように笑った。


「何がでしょうか」リオが聞き返した。


「学校も阿久堂アイツらもイジメはなかった……。

 そう報告があった」

 祖父の言葉に祖母も続けた。


「ええ、だったら殺される理由はないはずでしょう」

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