リベンジ少年K
Ns
第1話 打ち勝つべきは己なり
シュル、キュッ。
部屋にはネクタイを結ぶ音だけが響いている。
この男、
中学時代は髪がボサボサでチビデブ、異臭を放ちながら生活をしていたため友達どころかいじめてくる人さえいなかった。
圭佑は今リベンジに燃えている。
今日はA高校の入学式である。
A高校といえばこの近所どころか、世界中でも名の知れた有名な超難関校であり、入学できたとしても現役で卒業するのはかなり難しい学校として有名だ。
A高校卒の者はみな大卒よりも遥かに良い給料で多国籍企業への就職が約束される。
また、この学校は顔面偏差値も入学試験に取り入れられており、先生含め美男美女しかこの学校にはいない。
当然この制度導入時は日本内外からの批判も少なくはなかったが最近では卒業生の数々の業績が認められ、批判も少なくなり政府も黙認してくれている。
そんな学校に
「よし、そんじゃあ行きますか」
すでに空になったアパートからでて勢い良く階段を下った。
入学式
「入学したことで気を緩めることなく、これからも努力し続けゆくゆくは日の丸を
背負い世界の経済を支えていく人物になれるよう頑張ります」
ぱちぱちぱちぱち。
主席入学である圭佑は堂々と新入生代表の挨拶を述べた。
「すげぇなお前、なんだってあんなに堂々と喋れるんだ?」
席に戻ると隣の男子が話しかけてきた。
ワックスできれいに固められた髪にメガネ。
ちゃらそうだがいかにも勉強はできますと言わんばかりの顔だ。
「そんなことねぇよ、昨日丸一日使って予行練習したけど噛まないように必死で手
汗が半端なかったぜ」
若い頃はさぞかしもてたであろう風貌の校長からの長ったらしい挨拶が終わると新入生たちは自分たちの教室へと引き返した。
教室
「担任の
になった。よろしく頼む。」
凛とした顔立ちの風間は胸が——でかい。
一部の男子の視線を釘付けにしている。
この学校はクラス替えはなく、担任も三年間変わらない。
つまらないような気もするがその分卒業間際のクラスの団結力は他の学校にはないほど強固なものとなり、卒業後も連絡をとりあうような仲になる。
担任の自己紹介が終わると今度はクラスメイトの自己紹介に移った。
一人ひとり自己紹介していき入学式の時に話しかけてきた男子の番になった。
「え〜と、
教室中がどっと笑いに包まれた。
思ったとおりちゃらそうだが悪いやつではなさそうだ。
自己紹介は出席番号など関係なしにランダムで進んでいった。
圭佑は最後だった。
「え〜、羽柴圭佑です。好き呼んでいただいて構いません」
「よ、主席さん!」
中村が声を上げた。
「撤回します、それだけはやめてくれ」
また教室が笑いに包まれた。
自己紹介が終わり放課後になったが教室にはいくつかの輪ができていた。
「羽柴くんってどこ中出身なの?」
「秋田のど田舎だから言ってもわからないと思うよ」
「彼女いるの?」
「い、いないよ」
「あ、赤くなった!可愛い〜」
先程から圭佑は主席ということもあり質問攻めにあっていた。
加えて美男美女が集まるこの学校でも明らかに整った顔の圭佑がいる輪には女子の割合が高かった。
「おいおい、女子ばっか話してね~で俺らにも話させろよ」
入ってきたのは中村だ。
「あ、中村くん可愛い子見つかった?」
「もう、全員可愛すぎてキュン死しそうだぜ」
「うわ〜うそくさ〜」
「ホントだって!みんなお持ち帰りしたいぜ!」
「そこまでいっちゃうと気持ち悪いからやめて」
「うぐっ、今のは刺さったぜ」
中村の周りには笑いが耐えない。
「ところで圭佑よ、入学祝いにみんなでカラオケ行かねーか?」
「それいいね、私も羽柴くんとカラオケ行きたい」
中村の言葉に女子たちが賛成する。
「わりぃ、俺学生寮で荷物整理しなきゃだめだから今日はごめん。また機会があったら誘ってくれ」
「そうか、ならしょうがないか。よし、みんな圭佑の分まで楽しむぞ!」
「え〜羽柴くん来ないんだったら私行くのやめる」
「私も」
「私も」
どうやら女子生徒の殆どが圭佑目当てだったようだ。
「おいおい、そりゃねーぜ」
半泣きの中村に教室がまた笑いに包まれる。
「しゃーねーや、んじゃあまた今度にするか」
中村の言葉に全員が賛成し、今日は別れた。
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