かおり

青葉芳

ぼく

空に白がひとつもない綺麗な青が限りなく続いている素敵な日、

あえて、

ぼくときみは家にいた。


最近は出かけてばかりだったから、

今日は無駄な時間をただただ過ごそう。


ぼくの六畳一間のワンルーム。

開放感があるとは言えない部屋にきみとふたり。

ぼくの左肩によりかかって静かに眠るきみ。

ふわふわの髪の毛からいい匂いがした。

なぜかぼくはその香りに緊張し、

ともに眠ることはできなかった。


きみを駅まで送った時も、

ずっとぼくの左側からきみの匂いがしてさよならするのが寂しかった。


家に帰ってひとり。

まだきみの匂いがする。

1人なのに2人分の匂いがする。

ひとりだけど、きみとともに眠りについた。


起きたらまだ自分のじゃない匂いがした。

消えないで、

消えないで。

きみとずっと一緒にいたい。

昨日は永遠のさよならをしたわけじゃないのに、

ぼくの胸が苦しくなる。

今日はひとりで、

きみとこの部屋で無駄な時間を過ごす。

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