夏と冬
青葉芳
わたし
6月30日。
優しい桃色の木が爽やかな緑になり、
きみと出会って二つの季節を越えようとしています。
水分をたくさんに含んだ重い雪が降ったあの日。
きみに引き寄せられるがままに、
髪を振り乱し、
少女の証の大切なリボンをあっさりと投げ捨ててしまったわたし。
いいえ、
悪いのは寒いと叫んだわたしの体温。
きみの体温を分けて欲しかった。
白い肌にじんわりとにじむ汗、
黒く長い髪をひとつにまとめ、
つま先のでた涼しいサンダルを履き、
きみと手を繋ぐだけで充分な季節がくる。
夏に出会えていたら、
わたしは幸せになれたのでしょうか。
まとめた髪に、
縋るようにリボンを結ぶ。
6月30日。
ああ、夏が来る。
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