収束

――だれ……?


その言葉で俺の何かが外れた。


本当は、アザミには、俺の名前を呼んでほしかった。


呼んでくれたら、それは、俺が主人公ヒーローで、アザミが助けを待つ姫君ヒロインである左証になったのだ。


ヒーローになりたかった!

ヒロインといちゃいちゃしたかった!

みんなに褒められたかった!

一緒に喜ぶ友達が欲しかった!

一緒に悲しむ仲間が欲しかった!

助けてくれる親友が欲しかった!

頼ってくれる後輩が欲しかった!

頼られるだけの力が欲しかった!

どれもこれもあれもそれも欲しかった!




だが


それは昔のハナシ


んなもんどーでもよくなった


正道は無理だわ


平凡なオレじゃあ険しすぎる


邪道でいくしかねぇ


ズルするしかねぇわ


オレには力も才能も何もないんだからさぁ!

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