『遥かなる遥かなる遥かなる現在(いま)此処へ』中篇小説

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

序章

 わたしたちはかいこうした。

『第一の宇宙』でかいこうしたのだ。

 わたしは日本列島は岐阜県の産婦人科病院で誕生ししゆうそうれつじつの運命にきようどうされた父親がはいじん同然となって事故死しまた母親がうつぼつたる鬱病にかんして自殺したのちきようあいなる中華料理店を経営する親戚に引取られ平々凡々たる小学校中学校を卒業すると大学入試資格検定に合格しきようあいなる零細企業の鉄工所に勤務してしゆもなく黒魔術の奥義書『アブラメリンの魔術』をしようりようするりよにでたのである。

 わたしたちはった。

 ひつきよう『アブラメリンの魔術』の英訳書をきゆうするわたしがわいざつなる東京都は千代田区新保町の古書店街へまいしんしたいんしんたる街角にてきちよくする古書店へとさまいこんだところレジ係の女性がかいれいなる微笑をうかべながら挨拶したのである。いわくはじめましてですよね。むかしったことないですかと。わたしはあなたに挨拶をした。いわくはじめましてですけど。かでったことありましたかと。

 わたしたちはけつべつした。

 東京都内の古書店にてかいこうけつべつしたわたしたちは京都府の古書店にて再会したがしゆもなくまたけつべつすることになる。あいまいとしながらもけいかくを進捗させたわたしは独立の精神であなたと三度目のいをはたすことになりやがてわたしたちはめいちようたる恋人同士となった。からわたしたちの時空を超越した五千年のりよはつじんしたのだが『いま』ほうふつとすればりあなたのはじめましてですよねとわたしのはじめましてですけどがせんめいたるわたしたちの物語のらんしようであったはずだ。

 はるかなる『いま』二十一世紀初頭のことである。

 はるかなる『ここ』日本列島の片隅でのことであった。

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