Chapter28 城下町ロートリア


「さぁ、行こうカルミナ」


城下町ロートリアまでは門を出てすぐだった。

歩いて5分ほど、まさに駅近、いや、城近物件だ。

この街は、俺がこの世界に来た初日に、一度だけ馬車の中から見た事がある。

しかし、いざ自分の足で来てみると本当に広い。

カルミナは街へ入ると同時にローブを深々とかぶっていた。


まだ街の人達は帝国が落ちた事を知らないだろうが、

西の帝国と戦争中とは思えないほどに活気があり、笑顔があった。

夜の出店も立ち並び、街も明々と光が灯っている。


あ、あっちに見えるのはいわゆる風俗街では?

よし、次は1人で来るとするか…


「しかし、日も落ちたってのに凄い人だな〜。この街は毎日こんな感じなのか?」


「うんっ! そうだね。この街の人達は本当に毎日楽しそうに暮らしてるの。

…でも、こんな楽しそうな人達を近くで見るのは本当久しぶりだなぁ…」


「え、なんて?」


「んーん、いやなんでもないよっ!

それに、この街には、どこの国にも属してしない冒険者さん達も、たくさん立ち寄るみたいだよ。」


「へぇー、この世界には冒険者とかもいるんだな〜。

そういえば、さっきから騎士っぽい格好をした人をチラチラ見かけるんだが。」


「騎士団の人だよっ。第1から10の騎士団のうち、2つの団に毎日入れ替わりで街の警護をしてもらってるんだよー。」


そうだったのか、さっき見かけた騎士が、風俗街で如何わしい服装をしたお姉さんにつれられて、如何わしい店に入っていったが、カルミナには黙って置くか。


「なぁ、カルミナ、何か軽く食べないか?

美味しそうなもん出してる出店もあるし…って、そーいや、俺、金持ってねぇーっ!」


「アハハッ、大丈夫だよ、私がちゃんと持ってきてるからぁ。ねー、何食べる〜?」


く、くそぅ、なんてこった…歳下の女の子に食べ物を奢られてしまうとは…

カッコ悪過ぎんだろ! 俺!


「じゃ、じゃあ、あの串焼き肉食べようぜ!」


「あー、ギャリウヌの串焼きだねっ! 美味しそうっ」


しまった…モルゾイじゃなかったのかアレ。

どうせまた、あきらかな珍獣だろうからあえて聞くまい。


「おっちゃん!串焼き2本お願い!」


「らっしゃい! あいよぉ〜2本ねぇ〜。

2本で400イルだ! ほら、お嬢ちゃん持てるかい?」


カルミナが無言でコクリと頷き、受け取った。

俺はカルミナから受け取った布袋から硬貨を出し、

100と書かれた銀貨を4枚手渡した。


「ほいっ、まいどぉ〜!

しっかし兄ちゃん、可愛い女の子連れてるねぇ〜彼女かい? 大事にしなよ〜ハッハッハ。」


カルミナの顔が太陽に吠えろの夕日のように赤い!

まさか国王だとは普通思わないよな。

もし、今国王だとバラしたら、あのおっちゃんどんなリアクションになるのか。

いや、バラさないけどね!


てか、めっちゃウマイ! マイウーって奴だ!

2人で食べながら歩いていると、人だかりが出来ていた。


「なんだろう…ねぇ、Kっ行ってみよぉ〜。」


人だかりの中心で道化師? がパフォーマンスをしているみたいだ。

ピエロみたいな可愛いもんじゃなく、邪悪な見た目をしている。

物が消えたり、移動したり、手品なのか魔法なのかはわからないが、凄く鮮やかなパフォーマンスだった。


「イッヒッヒ、今日はここまでですよ。

またお目にかかりましょう。」


なーんだ、もう終わっちまったのかよ〜

もっと観たかったなぁと2人で話しながら、その道化師の横を通り過ぎようとした時だった。


俺は耳を疑った



ーー「…イッヒッヒ…もう1人の召喚者ですか…」


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