Chapter2 出会い


「は?...えーっと...あの、こ、ここは天国ですか?いや、それとも地獄?」


俺はあまりにも急激な風景の変化に戸惑い、目の前の少女に話しかけた。

少女は首を傾げた後、横にブンブンと振っている。


「え、えーっと、俺は生きてるし、君も天使とかじゃなくて、生きてたり?」


可能性として考えついたのが、ここは天国で少女は天使。もしくは地獄で少女は悪魔。

しかし、少女は首を縦に振る。


どういう事だ? 意味がわからないぞ?

俺は、深夜にビルから飛び降りたんだよな…

いや、それは間違いない!


何しろ、体があの恐怖を覚えている。

まだ、恐怖で身体中が小刻みに震えている…

それに、ボケる歳でもないし、物忘れも激しくない。


だがしかし!


今俺が居るここは、辺りは昼間で、周囲を見渡せば、

いかにもRPGっぽい山と岩だらけの風景…

近くには森もある。

アニメの世界を、フルCG体験しているみたいだ。


「もしかしてコレって、異世界召喚的な感じなのか?

どこぞのラノベの主人公みたいな展開?

マジでか! 新しい人生をやり直せるんだ!」


俺は少女の存在を忘れ1人で新しい人生プランを考えいた。

そんな俺を見て少女が不思議そうな顔で俺を見つめていた。


「異世界召喚だとすれば、俺、TUEEEEEE!

しちゃう感じっすかね! とうとう俺の時代が来たようだな…

きっとこの世界では、俺は色々なチート能力を…」


「あ、あのぉ〜...」


完全に俺の視界から消えていた少女が俺に話しかけてきた。

あれ? そういえば、言葉は日本語で通じる感じなのか...よかった。


「あなたは、どちらの国の方でしょうか?

見た所、西側ではないように感じるのですが…」


少女は少し俺を怖がった感じで話しかけてきた。


ん? どういう意味だろうか …

あなたの国は何処ですか?

と、聞かれたら日本と答える 。俺は日本人だから!

だって、この子も普通に日本語話してるのに..


この少女、銀髪に翠色の瞳、純白の羽織ものをしていて、かなりの美少女。

歳は中学生ぐらいに見える。14、5といった所か。

日本人には……到底見えない。


「…えーっと、そうだな... 俺は君が知らない国から来た。

で、意味通じるのかな? 初めてここに来たっつーか…

そう、どちらでもあちらでも無いってやつだよ!」


俺は意味のわからないジェスチャーを交えて説明する。


いまいち少女の質問の意味がわからなかったが、俺だって今の現状がよくわかっていない。

あやふやな答え方をしてしまった。


どうせ、何言ってんだコイツ? 死ね!

見たいな顔をするのかと思っていた。世の中の女は皆、俺に対してはいつもそういう態度だった。


しかし、少女は何かを思い出したかのような顔で頷き、俺に少し笑顔を見せた。


しかし普通に考えたら俺は、相当な怪しい者だよな…

おっと、お互い自己紹介をまだしていない。


「そうだ、君、名前は?」


「私は…カルミナ、レ…いえ…カルミナと言います。」


少女は真っ直ぐに俺の目を見ながら答えた。


おぉ...いかにも異世界の人って感じがする。

今、何かを言いかけてやめた…?


「次は、あなたのお名前をお教え頂けますか?」


「ん? ああ、俺は、小田 圭! 圭でいいよ、よろしくな!」


「K...? ですか…」


少女は少し首を傾げながら俺の名前をカタコトで呼ぶ。

スパイ映画のコードネームみたいな呼び方だな 。

しかし、なかなかに響きはいい。


「えーと、カルミナ、だっけ…? 俺って今から何したらいいかわかる?

いや、変な質問してゴメン!

俺もいきなりこんなとこに居てテンパってるんだわ…」


普通に考えて、まともな返答が返ってくるとは予想していなかった。

この子が1番最初に出会う案内人Aだとすれば、

まずは、近くの村か何かを教えられ、そこで情報収集して仲間集めをし、俺の異世界冒険が始まる!

と、王道パターンかと思っていたのだが答えは違った。


いや、俺自身予想はしていたのかも知れない。

何処からどう見てもこの女の子は、モブじゃない。

頭のてっぺんから足の爪の先まで重要人物感が溢れ出ていた。

いや、足の爪は流石に見えないんだけど。


「え、ぇぇーっと、何と言いますか…

Kは私達側の術者が、この世界に呼んだんだと思います…

私は色々と事情があり命を狙われているのです...

Kの力なら私を守れると予言者に聞き、えーっと、

し、召喚してもらったのです...ゴメンなさい!」


少女カルミナは、自身を守る盾として俺を呼んだと言う事を、頭を下げながら申し訳なさそうに話してくれた。


や、やはりこれは異世界召喚…

マジですか…とうとう俺が輝ける時代が来たと?

いや、時代がやっと俺に追い付いたと言っても過言ではない!

ラノベの主人公展開が俺に来ちゃった系っすね。


ここが本当に俺の知らない異世界なのだとしたら、昨日までの元の世界の俺はもう死んだ。

この新しい世界では決して後悔しない生き方を選んで生きよう。

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