第150話 次のダンジョン
Ⅶ章と齟齬が出たため、レッサークロウの件を削除しました。
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あの後部屋の中は騒然となったらしい。
俺は翌日の倞都行きの準備もあるので、早々に引き上げたのだ。
そして月子からは恨めしやメールが届いた。二年生だから仕方がないんだよ。
クラブ員で話し合いの結果、糸布系のドロップ優先でダンジョンを決めることになったらしい。
俺は自分の探索もあるので、一緒に探索するのは月一回。6月第一週目の土日に河中部長と葉山副部長、そして錬金術専攻の白木さんの三人が参加することに。
四年生の部員は三人の他に細工専攻の女子が一人いて、合計四人らしい。その細工専攻の女子は都合がつかず、今回は不参加になった。
女子率が高いが、そもそもこのクラブに男子は少ない。河中部長以外見かけ……松本がいたな。
一応男子部員は三年度生に革加工専攻と細工専攻が一人づつ、二年に錬金専攻が一人いるそうだ。
彫金や金属加工なんかは部室として使っているここB棟では作業ができないので、鍛冶工房のA棟の方で作業をしているそうだ。
細工でアクセサリーとかを作るのかと思ったら、ホックとかジッパーとか留め具とかも作るらしい。剣帯の鋲飾りとかもダンジョン素材で作られているんだ……
錬金術自体も専用の設備が必要らしいが、錬金作業ばかりをしているわけじゃあないので、こっちにいたりC棟にいたりするようだ。
葉山副部長は縫製もしているらしいし。
一年生部員は女子が三人いるのだが、作成作業にはほとんど関われないので今のところアシスタントだな。二年度生になって専攻が決まってから入部してくる生徒もいるようだ。
内容的に女子が多いのは仕方ない。探索者専攻にも女子はいるがめっちゃ少ない。
どうしても普通科かサポート科に偏る。
あとで河中部長から聞いたんだが、松本たち三年度生も誕生日のはやい部員が免許を取る方向に話が言っているらしい。
俺、なんか学校の在り方に逆らうような流れを作ってしまってないか?
とはいえ迷高専の教育方針が正しいと言えるかどうか、まだ実績の浅い学校だし。
高校卒業資格とか、高校としての教育機関じゃなければもっと探索者としての育成に配分できるんだろう。
北海道の第一校は高校ではないから二年ちょっとでEランク探索者になれるんだよな。二年ちょっとなのは、十八歳にならないと普通免許がもらえないからだ。誕生日がきて免許が取れれば卒業になる。最終学歴が中卒になるけどな。
帰る前に図書室で倞都のダンジョンの情報を仕入れてこよう。
えっと永岡倞市のダンジョンはっと。
永岡天満宮の近くにできたダンジョンか。文化遺産で観光名所でもある永岡天満宮の近くということで、ダンジョン産出品の有益生より万が一のことを考えて消失推奨になったのか。
まあ倞都の神社仏閣に限らず、重要文化財とかの近くにできたダンジョンは大体消失推奨で、消失させている。
今回の永岡天満宮ダンジョンは結構良さげなドロップが出るということで、かなり揉めたのか。
ダンジョン出現から三年近く経っていることで最終階層は推定三十階。
現在の最高到達階層が二十四階。なんでも二十五階層のボスが倒せずそれより進めていないらしい。
じゃあ二十五階が最終階層じゃないかと思われるのだが、どうも最終ボスっぽくないのだそうだ。
その辺りはただ読みできる資料には詳しく書かれていない。
「ダウンロードできる地図は……五階層までか」
一応プリントアウトしておくか。
確か幽霊屋敷型、というか家屋室内型だったな。モンスターはっと。
出現モンスターを調べるために、クリックしてページを開く。
「えーっと、室内なのに飛行型モンスターが出るの? なんかチグハグな」
1階層に出るのは室内ツバメという、驚異度1のモンスターだ。
普通のツバメより一回りくらい大きいが、部屋の隅に巣があってそこにいるんだが、部屋に入ると襲ってくるらしい。
あとは鬼スズメ。こちらも驚異度1で実際のスズメより大きく、床の上をぴょんぴょん跳ねているらしい。
同じ驚異度1の室内ツバメと鬼スズメだが、大きさは鬼スズメの方が大きいようだ。ツバメが小さくてスズメがでかいって、なんか下克上されたのか?
ここは数階層単位で数種類のモンスターが出るようだ。
あとは電車の乗り換えなども確認して、そんな感じで調べ物を終えたら弁当やお茶などの食料を買い込んでアパートへ帰る。
「久しぶりの探索ですにゃ」
「腕がなりますワン」
タマとポチは元ダンジョンボスというより、ダンジョンコアとしての意識の方が勝っているようなのだ。
ダンジョンボスは探索者がボス部屋に来ない限り〝待ち〟状態なので待つことに慣れているのかと思ったし、ダンジョンコアはそもそも動かないので、こちらもそういうのに慣れているのかと思った。
どっちもアクティブっていうか、探索したがるんだよなあ。このテスト前含んだ二週間は退屈だったようだ。
明日、永岡天満宮ダンジョンで戦闘させてやれる場所があればいいな。
────Ⅵ章 終わり────
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Ⅵ章、話数少ないですが、学校ネタ章だったのでこれにて終了です。
次からはまた探索になります。Ⅶ章開始まで少し空きますのでご容赦くださいませ。
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8月に入ってからお二人からレヴューいただきました。ありがとうございます。
夏休み効果で更新少ないのにPV伸びてました。フォローも八千人越えており嬉しい限りです。
書籍化にあたってかなり設定(名称など)を変更したのですが、web版はそのままのつもりなので、若干こんがらがってますが、間違えてしまってたらごめんなさい。
そういえばカクコンの募集要項には特別賞に〝記念品〟って表記されてたけど、発表から三ヶ月経つけど、なんの音沙汰もないです。
賞金はないけど何かもらえるのかと楽しみにしてたんですか、何もないんですね。
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