第127話 知良浜ダンジョン2日目②

 知良浜ダンジョンの話タイトルに日数追加しました。

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 二日目は十七階層と十八階層を中心に巡った。

 十六階層以降は驚異度7から8あたりのモンスターがでる。脅威度8からはエピックモンスターになる。


 俺自身エピックモンスターは、ボスとして出現したのとしか戦っていない。そんなエピックモンスターが雑魚として大量に湧いてくるのだ。

 五菱の探索者が俺に注意を促したのも低ランク探索者が太刀打ちできる階層ではないためだ。


 五菱のリザードシリーズはレア素材を使用しているので、エピックモンスターの攻撃を防ぎきれない。これはちょとリッチなHランク駆け出しからFランク半人前の探索者向けなのだ。


 エピックモンスターが普通に出るおかげで、この十六階層からは他の探索者との遭遇率はぐんと減る。

 とはいえ、すぐに引き返せるように十六階層で活動する探索者はいるので、そこを避けて十七階層へ進むことにした。


 熱帯雨林っぽいジャングルなのでじめっとしていて温度も高く、汗か湿気かわからないが肌にじっとりと不快な感じだ。


 しかし、そんなことはお構いなしに元気一杯の二頭。


「ふむ、我輩の獲物の方が大きかったワン」

「こっちは二匹倒したにゃ」


 探索者がいないことを確認し、ちょっと自由にさせたんだが競い合ってモンスターを倒すので、俺のところにあんまり回ってこない。


 十六階層以降に出るモンスターは驚異度7のポイズンモス、ロングセンチピード、キラーマンティス。

 ポイズンモスは翅を広げると1・5メートルもある蛾のモンスターで、その鱗粉を浴びると毒状態になってしまう。ちょっと浴びてしまって手持ちの毒消しポーションを使ってしまったが、その後二本ドロップしたので、手持ちは補充できた。

 せっかくの毒耐性の指輪つけ忘れてた。一緒に麻痺耐性の指輪もつけておこう。


 ロングセンチピードは長さ二メートルもある百足モンスターだ。

 外殻は硬く、マチェットは通用しなかったが、ついに〈スラッシュ〉を習得し、倒すことができるようになった。

 ロングセンチピードの外殻は防具にも使えるドロップ品だ。


 キラーマンティスは迷高専五階層の中ボスであるブレードマンティスの上位種だが、向こうはコモンモンスターでサイズも迫力も全然違った。

 ドロップする鎌は武器に加工できるそうで、粟嶋先輩に土産ができた。


  エピックモンスターである驚異度8のモンスターはトゥースリザードとウッホ。

 トゥースリザードは十一階層ででるリザードよりふた周りは大きく、背中から尾にかけてトゲトゲが生えている。

 それをタマやポチは本来のサイズではなく、大型犬くらいのサイズで倒している。

 ポチは驚異度9だからわかるけどタマは驚異度8のホワイトタイガー。同ランクだったんだが、俺と一緒に生狛ダンジョンとか回っているうちにレベルアップしたようだ。


「おーい、そろそろ俺にも戦わせてくれ」


 最後に戦ったエピックモンスターはポチだが、結構苦戦したのだ。あれから四日しかたっていないが、堺とここ知良浜でかなりの戦闘をしてきた。少しはレベルが上がっているはず。ポチより脅威度の低いエピックモンスターとではどの程度戦えるのかたしかめたい。


「近くのめぼしいものは間引きましたにゃ」

「まずは一対一で戦ってくださいワン」


 あ、俺が安全に戦えるように間引いてくれてたのか? まあそれだけじゃないけど、それも理由のひとつだろう。

 

「ありがとう、前から一匹来たから俺に戦わせてくれ」

「周囲の警戒は任せてくだされワン」

「マスター、気をつけてくださいにゃ」


 ここではダブルファングを使用する。流石にエピックモンスター相手にマチェットは無理だ。だが、なるべくなら固有スキル《ブラックファング》は使わずに倒したい。

 両手のダブルファングを握りなおし、あたりの気配を探る。周囲をタマとポチに守られている状況を利用して《サーチ》を切って感覚をきたえる。サーチに頼りすぎると気配を読めなくなるからな。


 前方から、ザザ、ザザッという枝を揺らす音が近づいてきた。

 音は前方というよりは、やや上の方から聞こえた気がして視線を上げる。

 

 現れたのは脅威度8のウッホだった。

 ウッホは身長150センチほどの茶色と深緑のマダラ色の猿系モンスターだ。ゴリラとチンパンジーの間っぽい感じだが、手が大きく色んなものをなげつけてくる。

 俺たちから5メートルほど離れた木の、地上3メートルくらいの高さの枝の上で止まった。


「ウッホ、ウッホ」


 ウッホはウッホと鳴いて俺をにらむと、近くの枝を折って投げつけてきた。

 葉のついた枝を右手の剣で切り落とすと、すでにウッホは目前まで移動しており、大きな手に持つ石で殴りかかってきた。枝は視界を塞ぐためのものだったか。バックステップでウッホから距離をとりつつ、左の剣を切り上げる。

 ウッホは振り下ろしていた手の軌道を変え、俺の剣をよけるも、完全にはよけきれず、浅く切り傷をつくった。

 今度は俺が前へ出て左右の剣を振り下ろす。するとウッホは手の中の石で剣を受け止めた。

 ただの石がダブルファングの刃を受け止められるはずもなく、そのまま石ごとウッホの腕を斬りつける。


「ギャウゥ」


 悲鳴をあげながらも後ろに飛び退くウッホ。逃がさないぞとそのまま突っ込み、首目がけて右手の剣を横凪に振るう。

 ウッホは両手で首を庇い、腕の半ばで刃が止まった。刃を無理やり掴んで、傷が広がるのもお構いなしに力任せに引っ張ってきた。俺の身体が引き寄せられ前のめりになった。


 肉を切らせて骨を断つとでも言いたいのか、ウッホは両手を犠牲にして俺に食らいつこうと、大口を開けて迫ってきた。


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 ウッホは「ウホッ」とは鳴きませんよ。ホ◯ではありませんからw

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