終焉

城崎

訪問

窓からの月明かりだけでも手元が見えるほどには、月の明るい夜だった。明日は晴れだろうか。晴れの方が、他の天気よりは嬉しい。もちろん雨だったところで、自らの役割を放棄するわけもなく、戦いへと身を投じる覚悟は出来ている。だが、戦い方を変えるのは億劫だなと、やる気のないことを思った。風呂場から部屋へ戻ると、案の定人影が見える。

「やぁ、毎日毎戦お疲れ様。お互い、今日まで死ななくてなによりだよ」

総力戦の前日にも関わらず、奴は、オズルドは、足を開いてソファに座り、遠慮もなしに寛いでいた。

「そちらこそ、毎回の訪問で骨が折れないか?」

「全然! むしろ楽しいくらいだよ」

こびりついた血の臭いを隠すこともなく、上っ面の笑みを白々しく浮かべている。しかし、これはある程度予想済みでもあった。次の戦いには、おそらくその後がない。だからこそ、風呂上がりにもかかわらず、普段通りの格好を見繕って着てきたのだ。ここまで自らに隙がないのは、初めてかもしれなかった。

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