灼剣の神器

炭の使い魔

前章

「…ハアッ…ハアッハッ…」

少年は終われていた。

ここは戦場…いや殺戮の場。

戦争は終結へと向かうはずの終了と講和の空白時間。

理性のタガが外れた兵士は無力な少年の命を面白半分で奪おうとしていた。

勿論、少年は必死に逃げる。

来てほしくない最期の時から逃れようとする。

しかし必然か、少年の努力は神によって嘲笑われ

つまづき、こけた。


この極限状態、足が縺れるのも無理はない。

だが少年はそれでも逃げようとする。

しかしその時間を無為に過ごすほど相手も愚かでは無かった。


少年は捕まった。

そして今、兵士が少年の命を奪おうと剣を降り下ろそうとする。


死んじゃうのか…怖い…

それが少年の最期になる


筈だった。


刹那

兵士は顎を蹴り飛ばされ意識を失う。


少年を救ったのは一人の英雄だった。

「大丈夫か?少年」

その言葉を聞き命が助かったことを悟った少年は

「うわぁぁぁ」

泣いた

盛大に泣いた

「おっおい!泣くな!泣き止んでくれ!」

子供の扱いを知らない英雄は戸惑った。


この戦争は今、オルタレスの戦乱と呼ばれ史上初の魔法部隊を用いての大勝を修めた戦とされている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る