花吐き少年と、虚ろ竜
猫目 青
花吐き少年と虚ろ竜の物語について
虚ろ世界辞典
これは、地球から遠く離れた虚ろ世界について書かれた書物です。作者はヴィーヴォ。虚ろの底に生きる花吐きの少年の名です。彼は愛しい竜に文字と自分たちの世界の在り方を教えるために、この辞典を作りました。
彼が愛しい竜のために書いた本が後世に伝わっています。その本や彼と竜の伝説をもとにした花吐き少年と、虚ろ竜の物語が、水底では今も語り継がれているそうです。
ヴィーヴォの残した虚ろ世界辞典を開いてこの世界の成り立ちについて調べてみましょう。
虚ろ世界は地球にいる少女が見ている夢の世界であると言われている。また、少女の心の形そのものを表した世界でもある。
この虚ろ世界は3層に別けられる。
命が生まれ落ちた地球。異世界を背に乗せた虚ろ竜たちが存在する中ツ
太古の昔、地球から命を宿した卵が落ちてきて、虚ろの中を
竜たちに取りこぼされた命は、虚ろの底に落ちそこに世界を創りだす。いつも夜に閉ざされ深海のように暗いその世界は、水底と呼ばれるようになった。
地球
水底を照らす光の源であり、虚ろ世界の生命を生みだした虚ろ世界の頂きにある星。この星には虚ろ世界を夢見る少女が眠っており、虚ろ世界はその少女の心の形を表していると言われている。
太古の昔に命を宿した卵が地球から転がり落ち、これが虚ろ世界の生命の起源となった。
虚ろ世界に生きるすべての生命は地球に
水底
夜に包まれた虚ろの底の世界。虚ろ竜たちに取りこぼされた命が想像した世界だと言われている。空には星となって
教会の聖典によるとこの世界の原初、虚ろ竜たちの父である始祖の竜が命を背中に乗せたまま水底に落ちてきた。始祖の竜の背中に乗っていた命たちは、生命のいなかった水底に根付きこの世界を創りあげた。水底の生命たちが暮らす大陸は始祖の竜の体であり、始祖の竜はこの世界を照らす太陽を口から吐いていたという。今では始祖の竜の力も弱まり、水底は夜闇が支配する深海のように暗い世界となってしまった。
夜闇に包まれた水底と違い、太陽の光が溢れる明るい空の世界。虚ろ世界の中央に位置するこの世界は、背中に世界を乗せた虚ろ竜たちの世界でもある。中ツ空と水底は
虚ろ竜
虚ろ世界の中央にある中ツ空を飛ぶ竜。竜の背には異世界があり、その異世界に住む命を新たな世界へと連れていくために竜は旅を続けている。虚ろ竜は
だが、新しい世界を探すことに夢中になっているため、産んだ卵を虚ろの底である水底へと落としてしまうことがある。
虚ろ竜たちの先祖と言われている始祖の竜は
また、虚ろ竜にはいくつかの血統があり、同じ血統の虚ろ竜たちは似通った髪色と眼、外見をしている。
その昔、水底に落ちた始祖の竜を取り戻さんと中ツ空の虚ろ竜たちが水底に攻めてきたことがあった。 虚ろ竜の中で雄の竜は始祖の竜だけであり、虚ろ竜たちが子を
生命の生きる大陸となった始祖の竜は中ツ空に帰ることができない。そのため、彼を取り戻すためには彼の上で生きている命を滅ぼす必要があった。
水底の生命を愛していた始祖の竜は娘たちの
銀翼の女王と呼ばれる彼女は姉妹たちと戦い、水底を虚ろ竜たちの
彼女は始祖の竜と交わり、
この大戦の名残は水底の各所に残っており、戦で死んだ虚ろ竜たちの亡骸は島や山脈、湖などになり水底の地形を形づくっている。また、小さな亡骸は聖都周辺にある
銀翼の女王が治めていた一族は、彼女の
この大天蓋を通って水底に行くことができる虚ろ竜は、番の花吐きを求め水底に降りようとしている虚ろ竜たちである。例外として、彼女たちの生んだ卵や遺骸が水底に落ちてくることもある。
花吐き
水底の世界で死んだ者の魂は死後、星となって空を
そのため彼らは短命であり、成人を迎える者はほとんどいない。花吐きのほとんどが男性であり、女性の花吐きは
灯花になった魂たちは、新たな転生先を求め、旅に出る。その多くが地球を目指して飛び立つが、大半は力つきてきて虚ろ竜たちの背中にある世界に転生する。中には水底に留まり、咲き続ける魂もある。水底の生命は減り続けているため、水底は少しずつ
花吐きの力は眼に宿る。星となった魂は花吐きの眼に引き寄せられ、その眼の中に留まる習性を持つ。 花吐きは魂を眼に留め、自ら作曲した
教会の聖典によると花吐きは、始祖の竜と銀翼の女王との間に生みだされた花吐きたちを起源に持つという。
彼らは色の一族と呼ばれ、今日水底で生きている生物たちの始祖となった。色の一族は自らの先祖である始祖の竜を崇める教会を創設し水底を統治している。
教会を統治するのは直系の色の一族たちである。彼らは一族の中から生まれた強力な力を持つ花吐きに二つ名を与え、始祖の竜の使いとして信仰の対象にしている。
花吐きは始祖の竜の血を濃く引くほど力も強いとされている。直系と
灯花
水底を星になって彷徨っていた魂が、花吐きに浄化され結晶の花となった姿。灯花になることで、魂は新たな命に転生することが可能となる。その転生先として、灯花たちには生命の生まれた地球を目指す習性があるという。灯花の姿かたちには、吐いた花吐きの心情や個性が反映される。稀に、特殊な能力を持つ灯花を吐く花吐きもいる。
灯花になった魂は意思を持ち、生前の記憶も保った状態でいる。そのため、彼らは自身の意思で転生先や咲く場所を決め、何に転生するのか自身で考え選び取ることができる。
教会
水底を治める
教会を治めるのは始祖の竜の直系である色の一族である。教会は色の一族たちにより共同で運営されており、教会の頂点である教皇の下に色の一族を治める長たちの議会がある。教皇はその議会の
色の一族
始祖の竜の直系とされ、水底の生物たちの起源になったとされる古い一族。彼らからは代々強力な花吐きが生まれ、その花吐きを始祖の竜の使いとして崇める教会を介して水底を統治している。
強い花吐きを生みだすための
一族は
聖都
花吐きを信仰の対象として崇め、花吐きの子供たちを保護することを目的に作られた教会の
教会は花吐きの始祖であるとされる、始祖の虚ろ竜を最高神として祀っている。
魂を持たない生物たちの
中ツ空から落ちてきた虚ろ竜の
人や物資の
地球から虚ろ世界に落ちてきた人々の
稀人は少女の眠る地球にいる人々であり、彼女が虚ろ世界を救うためにこれらの人々を送り込んでくるとされるが詳細は不明。
名
虚ろ世界において名は、存在そのもののありかたを
今日において世界は名によって存在を定義されてもので溢れている。そのため名で人を支配することは色の一族の血を色濃く引くものか、生命そのものを司る花吐きの力を持つ者に限られている。
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