第17話 楠さん
「あ、着いた。」
「へ?」
「小町可愛いっ///」
いや、どこが?
「そのキョトンってなってたの可愛かった!!」
「??」
「あぁ、もう可愛い~っ///」
「真南斗先輩、お姉ちゃんが壊れたんですけど...」
真南斗先輩の服を掴んで喋りかけると、
「っ、可愛い!///」
ダメだ。なんか、2人とも壊れた。
「小町さん、お2方はあとで回収...んんっ、お連れ致しますので、どうぞこちらへ。」
楠さん思いっきり回収って言いましたね。
「では、案内も兼ねて、少し庭の方へ行きましょうか。」
「はい。」
にこやかに喋る楠さん。
んー。
「楠さん。」
「はい?」
「あの、こんなこと言うの失礼なんですが、普段通りの喋り方で良いですよ?」
「......」
「あっ、もしかして、普段通りでしたか?!すみません!!」
「あぁ、いえ。1つ、お伺いしても?」
「?はい。」
「何故、私が普段通りでは無いと思われたのですか?」
それは、
「勘、ですかね?」
「......」
すごくキョトンとされてるけど、そんな顔もかっこいいのは元が良いからなんだろうなぁ。
「あの、楠さん?」
「...ふふ、ふは!あはははは!!」
え?え!?
さっきまでの楠さんから出てるとは思えない笑い声。大爆笑じゃないですか。
でも、
「やっぱり。」
「え?」
「そっちの方が良いです。」
「ふっ、ふふ。」
なんで笑うんですか!!
「ふぅ。失礼致しました。」
「...はい。」
あんなに笑われたら私だって嫌だ。
「申し訳ございません。これまで真南斗様と郁斗様以外に私の本性を見破った方は居られなかったものですから。」
「だからと言ってあんなに笑わなくてもいいんじゃないですか?」
「だって、貴女は勘で見破られたでしょう?しかも今日初めて会ったにも関わらず。」
「そうですね。」
「郁斗様は2日ほどでしたが、真南斗様は、一週間ほどかかりましたよ。しかも分かったのは私がボロを出してしまったからです。」
「そんなんですか?」
「はい。今回はボロ出してないつもりだったのに。悔しいものですね。」
「......」
なんと言えばいいのか...
「おっと、タイムオーバーのようですね。」
「え?」
「楠!!なんで小町ちゃんと勝手に庭にいるんだよ!」
「申し訳ございません。おや、彩さんは?」
「彩ならメイドと一緒に小町ちゃんの服作りに行った。」
「お姉ちゃんが素直に行ったんですか?」
「いや、だいぶゴネた。」
「ですよね。」
「あぁ、真南斗様。」
「ん?」
「小町は、一瞬で俺の秘密暴きましたよ。な?小町。」
「え!?あ、はい...?」
「んな!おい、いつの間に名前呼び捨てしてんだよ!?」
「ふふ、冗談ですよ。さぁ、小町、行きましょうか。」
「あ、はい。」
「え?ちょ、小町ちゃん!?」
「なんですか?」
「ふは、あははははは!」
「え?えーー!?」
この日は、楠さんの笑い声と、真南斗先輩の叫び声が、庭に響いてました。
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