第6話 後悔

また1日が始まる。


「...おはよう。」

「おはよう!小町!!」

「......」

「......」

やっぱり。今日も返事をくれるのはお姉ちゃんだけ。

ほんとに私、見えてる?この世に存在出来てる?って馬鹿みたいな疑問が昔なら出てきたけど、それももう慣れてしまった。


「あ、今日四時間だった。」

「え?あっ、一年生は短縮授業か!!どうしよぉ、一緒に帰れない...」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。今日は美佳ちゃんと2人で帰ってくるね。」

「うん。はぁぁ、小町がいないのに学校にいとかないといけないとか鬼畜だぁ!!」

「そんな事言わないでよ。今の高校が小中高の一貫校で良かったよね。」

じゃないと去年は悲惨なことになっていたに違いない。

「うん...」

「じゃあ、そろそろ行こう?」

「う「彩」」

?珍しい。基本私がいるときには喋らないのに。

「...何?」

「来週、参観でしょう?」

「なんで知ってるの?」

「ママ友さんから聞いたのよ。」

「そう。来るの?」

「えぇ、行くわよ?」

「そう。良かったね、小町。」

「え?あらやだ、私が行くのは彩のところだけよ?」

「は?」

あ、ヤバい。お姉ちゃんがキレてる。

「やだ、そんな怖い顔しないでよ。小町のところには、お父さんが行けたら行くから。」

嘘つき。お父さんは絶対に来ないじゃない。

「...そういって小町のところに来たことないじゃない。」

「...はぁ、今日は行けるの?あなた。」

「電話で聞いてみないとわからない。」

「じゃあ、今すぐ電話して、お父さん。」

「それより、彩ちゃんは学校の時間だろう?早く行きなさい。電話はしておくから。」

「...そうだね。お姉ちゃん、行こう。」

「なぜ、お前が返事をするんだ。お前には言っていないだろう。黙っておけ。」

つくづく理不尽だ。

「彩(ちゃん)、いってらっしゃい。」

「......いってきます。」

「いってきます。」

また睨まれた...。まぁ、慣れたしいいけどね。


「お母さんもお父さんもなんで小町にあんな態度を取るのかな?」

「お姉ちゃんは完璧なのに、妹の私が完璧じゃないからだろうね。」

「......」

「あ、別にお姉ちゃんを責めてるわけじゃないんだよ!?」

「...うん。小町は優しいね。」

「?」

「あー、もう!そのキョトンってした顔可愛いぃぃ!!」

うん。今はいつも通りのお姉ちゃんだ。でも、さっきはなんか、悲しそうだったような...?やっぱり、私はいない方が良かったんじゃないかなぁ~なんて思ってしまうのは行けないことだろうか。教えてくれる人なんていないけど、いつか分かる日がくればいいな。

...もう2度とあんなことはごめんだ。絶対にお姉ちゃんは守らなくちゃ。その為になら、私はどうなってもいいから...



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