番外編 side真南斗
小町ちゃん可愛い...
いや、そうじゃない、なんでいつもいつも小町ちゃんの横に彩がいるの。いや、小町ちゃんの姉なんだから当たり前だし、彩がいたから小町ちゃんに出会えたんだけど。
彩とは高校に入ってすぐに仲良くなった。なんでも、学校の姫と王子として同じ立場にいた彩とは何かと行動を共にしていた。そんな彩に可愛い妹がいるのは彩からよく聞いていて知っていた。俺は一度その子に会いたいと思っていた。
そして、その機会はすぐにきた。彩の家へ行った時に隠れるように部屋の隅にいた小町ちゃんを見つけて挨拶した。
「こんにちは。」
「...!!え、あの、こ、こんにちは...」
驚かしてしまったのか?やけにびくびくしてるな。
すると、彩の母親が
「あぁ、その子人見知りなんですよ。そんな子放っておいていいですから、こっちでお茶でもいかがかしら?」
その言葉に違和感を覚えた。
「あぁ、お気遣いありがとうございます。ではお言葉に甘えていただきます。」
「まぁ、礼儀正しいし、いい子ね。」
「お母さん、そういう言い方しないで...」
さっきの違和感は気のせいか?
「あら、ごめんなさいね。彩は昔から妹の子守りばかりさせられていて、あまりお友達と遊ばなかったから...。あの子がいつも彩に甘えたせいで、彩には随分と不自由な思いをさせてしまって...あの子さえいなければ良かったんだけどね。」
「お母さん!!」
「あらなぁに?ほんとのことじゃない。彩のことを散々縛っておいて。彩もほっとけば良かったのに。ほんと、あなたはいい子ね。」
いや、やっぱり違和感を感じたのは間違いじゃない。この母親、彩に対してはごく普通に愛情を注いでいるのに、妹には他人同然の扱いをしている。しかもそれを他人に隠そうとしない。
「母さん、彩ちゃんのお友達が困っているじゃないか。早くお茶の用意をしなさい。」
「あぁ、そうね。ごめんなさい、えっと真南斗くん?そこに座っててちょうだい。」
「あ、はい。」
「彩、手伝って。」
「あ、うん。えっと、カップは...」
「4つね。右上の棚からとって。」
「え?4つ?小町の分も?」
「何言ってるの、お父さんの分でしょ?」
は?
「え、じゃあ、5つにしよう?小町の分も。」
「あの子にはいらないわよ。」
...何故だかわからないが、この時この母親に苛立ちを覚えた。
そう思い出したらあとは淡々と俺が今何をすべきかわかってきた。まずは小町ちゃんに話しかけよう。この家では彩から以外の愛情をもらったことがなさそうだ。なら、俺が愛情をあげたいと思う。彩から遺伝したのかもな。この気持ちがなんなのかわかるのはもう少しあとだ。
「小町ちゃん、こっちおいで。」
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