第2話 憎たらしくても憎めない
お姉ちゃんとよく一緒にいるあの男。私の劣等感の元でもある。
「おはよう。彩、小町ちゃん、と小町ちゃんのお友達?」
噂をすれば、だ。
「おはよう。真南斗くん。」
「ま、真南斗先輩!!?お、おはようございます!!」
「おはようございます。立花先輩。」
お姉ちゃんの同級生で1つ上の先輩にあたる、立花 真南斗。明るい茶髪にシュッと通った鼻、薄い茶色の瞳でいわるゆイケメンってやつだ。お姉ちゃんと同じクラスで家にもたまに来てるくらいだから仲は良いのだろう。
「あはは。小町ちゃんもお友達もそんなかしこまらなくてもいいよ。」
「いえ、先輩は先輩ですので。」
そう。お姉ちゃんの友達だからって私が馴れ馴れしくしてはいけない。
「そ、そうです。真南斗先輩が良いっておっしゃってもさすがに...///」
「もう、小町ちゃんには敬語もいらないって何年も言ってるでしょ?お友達も、気軽に喋ってくれて良いんだからね?」
「は、はいぃ!!///」
「...はい。」
私が仲良くする事は許されない。なぜなら、この男は学校一のイケメンと言われ、お姉ちゃんと二人で学校の王子と姫、みんなから好かれているからだ。ただでさえお姉ちゃんがいたからみんなからいじめを受けることだってあったのに、そんな人が一緒にいたらまた皆から、特に女子から反感を買うに決まってる。
「ねぇ、小町ちゃんのお友達の子。先に教室行っといてくれない?小町ちゃんに用があって...」
え?
「え、あっ、はい!!」
「ありがと。」
「!!!い、いえ!///そ、それじゃ小町、また後でね!!!」
「う、うん。ごめんね、美佳ちゃん。」
「それじゃ、彩さん、真南斗さん、失礼します!///」
「うん、またね。美佳ちゃん。」
「ごめんね、ありがとー!」
えぇ?
...まぁ、いいか。ところで立花先輩の用ってなんだろ?
「で、小町ちゃん、今日一緒に帰ろう?」
「...え?」
「あ!真南斗くんだけずるい!!私も小町と一緒に帰りたい!!!」
いや、まだOK出してないし...
「えー、彩は毎朝一緒に登校してるじゃん。」
「でもでも、小町と一緒に帰りたいもん!!!」
「たまには俺が小町ちゃん独り占めしたい。」
「だめ!小町は私の方が好きだもん!!」
はい?なんでどっちの方が好きかになったの??
「う...でも!彩は家でも一緒にいれるだろ?」
どんどん話が進んでく...私の意見は?
「小町ちゃん!!」「小町!!」
びくっ!
「たまには俺と一緒に帰ろ?」
「小町は今日も私と帰るよね??」
...んー。
「私は、3人で帰りたいなぁ...。3人じゃ、ダメ?」
「はぅぁぁ!!小町可愛い!!!小町がそういうなら、不本意だけど!!3人で帰ろう!!!」
...うん。お姉ちゃんはいつも通りの反応だ。
?立花先輩が反応してない...?
「あの、立花先輩?3人じゃ、ダメですか??」
「...はぁぁぁ///小町ちゃん可愛すぎ。上目遣いでそんなこと言われたら3人で帰るしかないじゃんか///」
...?なんか、デジャブ??
「じゃあ、また後でね小町ちゃん。」
「小町、迎えに行くから教室で待ってて。」
「えっ。迎えには来なくていいよ...」
「だーめ。迎えに行くのは譲れない。」
「...分かった。でも、せめてお姉ちゃんだけが良い。」
「え。俺も行きたかった...」
「ふふん。小町は私の方が好きだもんね!!」
「え?あっ、いや、立花先輩が嫌いとかじゃ無くて、ただ、2人とも来ると目立つから...」
「ふーん。まぁ小町ちゃんが来てほしくないって言うなら行かないけど。」
あら?
「あ、真南斗くん、もしかして焼きもちやいてる?私が小町に選ばれたから~。」
「別に。」
あらら?
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