第20話 首切ったら痛いんだろうな当たり前だよな




昔は自由なカラダだったから平気で手首切ってた


痛くないの?ってもし聞かれたら


痛いのが存在理由だと陳腐な受け答えをしてた


カラダが半分になってから何回も言うようだけど


どっちでどっちの手を切ればいいのかわからなくなった


悪い方の手を切ると鋭敏に動くから


そりゃもう釣った直後の青魚みたいにびくんびくんと


変な話私の存在理由を超えた怪我するかも知れない


でも元気な方の手は悪い手が刃物握れないから切れない


いちにちに数回とかなんにちかに数回とか


ふいっと思う


もしくは手首切り落とす勢いでやらないと無理だとも聞くけど


漠然と


しかも唐突に思うこの感情は


どうしたって消えてはくれなくて


そのたびに他の「わたしたち」が


他の8割から9割の「わたしたち」が


その事から目をそらす事柄を囁く


そして関係ないところに逃げてる


毎日毎日


世界観とか外国と違うからなんなんだけど


それでも安楽死希望の人間は世界各国にいるわけで


私もそのひとり


もう何十年も前から安楽死希望で


免許証の裏側には臓器提供カードに


私が死んだら好きなだけ臓器持ってってって意思表示してる


最初は親の愛情不足だの過干渉にネグレクトとかいろいろあったけど


この年になってからはもう早く死神希望なのです


信じてはないけど


何回も言うけど


死にたい消えたいよりも


この世界にはもう生きていたくないのです



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