暗森の中
ツヨシ
第1話
ある日を境に、小学校で奇妙な噂が立ち、それが広まった。
なんでも学校の裏山に、異様な人がいるというのだ。
真っ黒いスーツを着た、青白い顔の背の高い痩せた男の人。
年は若いと思われるが、近くではっきりと見た人がいないためによくはわからないと言う。
これまでに何人も目撃しているということだ。
「近所の人じゃないの」
「でも山の中でスーツなんて着てるのよ」
「昨日はまいちゃんが見たんだって」
「聞いた、聞いた。あんな変な人、今まで見たことがないとか言っていたわね」
先生の耳にも入ったようだが、学校側としては「そんな人いません」と言う意見に落ち着いているようだ。
女の子は怖がっている子が多いが、男の子の中には「そんなやつ、みんなでやっつけてやろうぜ」と言い出す子もいた。
それが実行されたことは、今のところないのだが。
先生と同じく「そんなやつ、いないわよ」と断言する子もいる。
私と仲のいいみゆきがそうだ。
「そんなこと言っても、いるかもしれないわよ」
そう言う私を、みゆきが笑った。
「それじゃあ、今度山に行って、見てみましょうよ」
私は乗り気ではなかったが、みゆきを止めることは出来なかった。
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