序:正義の在り処
人々の雑踏の中、透き通る美声が割って入ってくる。
「大衆の前で淑女を責めるとは、大ニホン帝国軍人というのは野蛮な人種のようですね」
遠巻きに見ていた通行人の中で、一人だけ清六達に近づいてくる青年が居た。
腰に剣を提げ、全身を白銀の鎧に包む青年。騎士というイメージをそのまま具現化させたような姿をしながらも、その端麗な顔立ちは造形物のように美しく、おとぎ話の王子様と言い表した方がしっくりくる。
「むむっ、お主、何者でござるか?」
「これは失礼。僕は英国騎士団副団長のタリス=オールドリッジと言います。以後お見知り置きを」
自己紹介をすませたタリスは、畏まった一礼をする。
「拙者は大ニホン帝国軍人の蓬莱清六でござる。それで、オールドリッジ殿。拙者に何か用でござるか?」
「貴方に用はありませんよ。僕はただ、か弱い女性を助けるだけですから」
「……オールドリッジ殿。それは勘違いでござるよ」
タリスが鼻で笑った。その仕草は傲慢な王子のよう。
「見苦しいですね。言い訳ですか?」
「いや、そういうわけでは――」
清六の声を断ち切るように、靴を強く踏みならす音が鳴る。
「どうであろうと、淑女に害を成すことに代わりはありません。おの女性に非礼を詫びて、即刻立ち去るのであれば、この場はお見逃ししましょう」
「人の話を聞くでござるよ……」
うんざりとしている間に、タリスは少女の肩に手を乗せ、自信満々の笑みを浮かべる。
「お嬢さん、この場は僕に任せてください。騎士として、紳士として、あの野蛮人を懲らしめてあげましょう」
当の少女は、まさかの乱入者に困惑して生返事をするだけだった。
「拙者は謝る気など更々ないでござる」
今にも消えていなくなってしまいそうなルシアの姿が、清六の視界に入っている。
俯き、押し黙る彼女。
肩が震えていた。
銀髪の少女とルシアの間に何が起こったのかは知らない。
今の清六はタリスと同様、完全な部外者である。異国であり、他人である清六が口を挟むべきではなかった。
だが、それでも。
懐にしまい込んだ指輪を、確かめながら少女へと視線を転じる。
人をバケモノと罵る人間を許せなかった。
「僕に剣を抜かせないでください」
タリスの雰囲気ががらりと変わる。
空気が氷結されたように重く、冷たいものになった。それを肌で感じながら清六は言う。
「拙者も同じでござるよ。人はなるべく斬りたくないでござる」
息苦しい間が生まれる。
すでに両者の手には、自分の相方とも言えるべき剣刀の柄に添えられていた。
一触即発の状況下、白昼での剣戟が始まろうとする。
「……どうやら、邪魔者が入ってしまったようですね」
ふとタリスが剣の柄から手を離した。
なぜそのような事をしたのか、清六は疑問に思っていると、
「おめぇらよぉ、そういうのは人目のねぇところでやりやがれ」
突如、ふらりと清六の視界に人影が入り込む。それは、ちょうど清六とタリスの間に割り込む形だ。
「ぎ、ギード殿!?」
清六は虚を突かれた。
乱入者がギードだからではない。ギードの気配に、まったく気づけなかったのだ。
そこにいるのは、酔っぱらった老体ではない。百戦錬磨の戦士を彷彿とさせる男の気迫が見て取れる。ただ目を合わせるだけでも腰が砕けそうになるほどの凄みに、純粋な恐怖を抱いた。
それゆえ、視野に入るその瞬間まで、なぜギートの存在に気付かなかったのか不思議なくらいだった。
「エクソシスト連合、総長……貴方ですか」
ギードに向かって、タリスが言う。
「うるせぇ。いちいち、俺の肩書きを口にすんじゃねぇ。俺は肩書きってのが大嫌いなんだよ」
「貴方のような人が、なぜここに?」
「俺は、姪を探してただけだ。それがなんだ。血の気の多い馬鹿犬二匹が、牙を剥き出しにして、今にも喧嘩を始めようとしてやがる。それも俺の姪の目の前でだ。喧嘩なら牙じゃなくて拳でやれ、馬鹿犬共」
未だに俯くルシアの頭に手のひらを乗せて、ギードは清六とタリスを交互に睨んだ。
だが、次の瞬間ルシアの状態に気づき、顔を覗き込む。
「ルシア、どうした? 腹が減ったか? ん?」
フルフルと、かぶりを振った。
ギードの鋭い眼光が男二人に向けられる。
「おめぇらのせいで、ルシアが怯えてるじゃねぇか! 顔面潰すぞ!? ……あぁ、ルシア! こんな馬鹿犬共は放っておいて、伯父さんと飯食いに行こう! な!? ほら、行くぞ!」
「え? ……ちょっと……伯父さん……!」
有無を言わさずに、ギードはルシアを担ぎ上げて、どこかへと走り去っていった。
「老体とは思えぬ人でござるな……色々な意味で」
ギードの後ろ姿を見送り、清六はタリスの様子を窺う。
乱入者の仲裁によって闘争心は完全に削がれており、相手と剣を交える気はない。……しかし、それは清六だけのようだった。
「邪魔が入りましたが、僕たちの話は終わっていませんよ」
タリスの目には闘志が消えていない。
どうしたものかと視界を巡らす。すると、少女の姿が見えなかった。
――逃げたでござるか。
「さあ、選んでください。剣の錆となるか、淑女に謝るか」
タリスは先ほどまで少女がいた位置を見る。
「……おや?」
清六にわずかに遅れながらも、やっと少女がいなくなっていることに気付いた。
逡巡するかのようにタリスはその口を閉じて、こみかみをトントンと人差し指で叩く。それを三秒ほど続けた後、
「命拾いしましたね。本当だったら、僕の剣にひれ伏しているところでしたよ」
「むむっ! 開き直ったでござるな!? 散々、拙者を責めておいて、それはないでござるよ!」
「なにを勘違いしているんですか。むしろ、これは予定調和です。僕の目的はあくまで、女性を助けることだったんですから」
何の恥ずかしげもなく、タリスは見栄を張った言葉を並べる。
「拙者が悪者になった気分でござるよ! しかも負けた感じがするでござる!」
「なら、剣で決着をつけますか? 僕としては、そちらでも構いませんが」
「嫌でござる。正直、オールドリッジ殿に勝てる気がしないでござる」
その言葉に謙遜や嫌味はなかった。
本当に、清六はタリスという剣士に勝てないと思っている。
実際に戦えば、勝負はどう転ぶか分からない。そういう理屈を抜きにしても、実力差がある事を清六は理解していた。
その線引きを見極めたのが、先ほどのギード乱入時のこと。あの時、清六はギードの存在に一切気付いていなかったが、タリスは察知していた。
思い返せば、それは自分の未熟さを露呈させるのと同じだった。恥じるべき失態である。
「僕としては、異国の剣士と手合わせできるチャンスを見逃してしまうことになるので、少し残念ですね」
「拙者のような未熟な剣士では、がっかりするだけでござる。拙者より強い剣士なら、母国にはごまんといるでござる故、一度は来訪することをお勧めするでござるよ」
「あいにく、僕は英国の地で骨を埋めたいので、それは遠慮させていただきます」
タリスは人を安心させる微笑で答えた。完全に戦闘態勢は解かれている。
「それでは、僕は立ち去るとしましょう。さようなら、ホウライさん」
何の後腐れもなく、あっさりとタリスは歩いていく。
いつの間にか一人になってしまった清六は、唐突に猛烈な不安感を抱いた。
「なぜでござろうか……、何か忘れてはいけないものを忘れているような気がするでござる」
時刻は昼になろうとしている。
清六の不安は、空腹の音と共に消え去った。
+++
首都アステトを象徴する建築物の中に、精霊塔という時計台がある。これは英国によって建てられたもので、第二のビッグベンとして諸外国には認識されていた。
悠然と立ち構える塔は、同盟国である英国の威光を示すために設計・建設された。
精霊塔の建物に隠れるようにして、金髪の少女は荒い息を整えている。
彼女は事態が大きくなっていくことに、怖じ気付いて逃げてきたのだ。英国騎士団の副団長とエクソシスト連合総長まで出てきたときには、心臓が止まるかと思った。
あのサムライは生きているのだろうか。
無関係な人間を巻き込んでしまった事実は、彼女の心に痛みを与える。しかし、あの悪魔――ルシア=エローラの幻惑で操られているのではないかと思った途端、心配は怒りへと変わった。
すべては悪魔が悪いのだ。
悪魔のやり方は狡猾で陰湿。
とくにルシア=エローラという悪魔は人の良心を揺さぶる術に長けている。自分が非力であることを主張し、常に他人を味方に付けて、身を守る。
神童と呼ばれるマルティナ=バイツァーと、学校一番の問題児であるジネット=ファビウスの両名を見事に惑わした。そして、伯父はエクソシスト連合の総長……ルシアの母親も上手く、総長の弟を誑かせたものだ。
結局のところ、神童・問題児・総長のカードを見せつけられては、正面から彼女に楯突く人間はいない。陰の女王が生まれたようなものだった。
だから、自分がやらなければならなかった。
二人の友人を巻き込み、初手を放つ作戦は概ね成功したと思われた。
目的は、ルシアが一番大切にしている指輪。
それは悪魔としての必需品なのだと少女は睨み、奪取した。が、そこで侍と出会ってしまった。
もしかしたら、あの時から侍は操られていたのかもしれない。
まさか、落としてしまった指輪を侍に拾われて、ルシアの目の前で渡されるなど……最悪を通り越して絶望としか言えなかった。
しかしそれが悪魔の所業なのだろう。
「おやおやァ? ソコにいるのは、レベッカだネッ! ハヤかッたネー!」
少女、レベッカは面を上げる。
そこには巌のような顔をしながらも、満面の笑みを作る男が立っていた。
レベッカは闇雲に走って精霊塔にたどり着いてきたわけではない。初めから、ここに来て、この男に会うために外出してきたのだ。
「天使さま……!」
安堵するようにレベッカの表情が緩む。
「オウゥ! ボクをそうイッてくれるのは、キミだけだヨッ! カンゲキしちャう! キミはショーライ、審判の門をヌケてテンゴクにイケるッ! このボクがホショーするよォ!」
体をクネらせ、“天使”は喜びを表現した。
「でも、私……天使さまの言うとおりにできませんでした……」
レベッカは顔を曇らせる。
「んん? ウマくいかなかッたの?」
「それが……部外者からの干渉がありまして……」
「ムムムッ! それはアクマのシワザだねッ! キをつけるんだよッ! “自然な不幸”“偶然の不幸”ほどアクマがカカワってるカノーセーがタカい! チョー・ジョーキュー・テンシであるボクがイうんだから、マチガいない!」
「あの、私……失敗してしまったんですよ? 何か、罰を受けるべきでは――」
怖ず怖ずとした声を天使はかき消した。
「シッパイはセーコーの親! どっかのニンゲンがイッてたよ! スバラシいねッ、ニンゲン! ボクはニンゲンがダイスキだ! だから、罰なんてものは、アクマにでもくれてやればいい!」
「そのような慈悲深いお言葉……あ、ありがとうございますっ」
「なァになに、カンシャすることじャないよ! むしろ、キミのようなキョウリョクシャを得られたボクのほうがカンシャしたいッ! レベッカ! キタるアクマとのセンソーに、キミのような信仰深い子がヒツヨーなんだ!」
天使の言葉は、レベッカの不安を綺麗に取り除いていく。
自分を肯定してくれる心強い言葉。それを聞いているだけで、心が満たされてる。
「そこで、アラタにタノみたいことがあるんだよね」
そう前振りをした天使は、レベッカの視線を誘導するように精霊塔を見上げた。
「この精霊塔ッていう建築物……どうもニオうんだ。だから、キミにはヒトツの使命をニナッてもらうよ。……今日は大切な日だからね」
何の疑問も抱かずに、レベッカは首を縦に振った。
+++
「さあ、選べ。今死ぬか。今殺されるか」
清六は生命の危機に陥っていた。
全身の骨が軋み、痛みのないところがない。
磔刑にされたように動けない。それはダメージによるものだけではなかった。
単純な恐怖心。
天敵に遭遇してしまった動物のような心境だ。
英国騎士団副団長やエクソシスト連合総長と出くわしたとは、比べ物にならないくらいの恐怖を清六は感じていた。
その“天敵”は、仮設駐屯所にある長屋の自室に帰ったときに襲ってきた。目にも留まらぬ奇襲によって、清六は刀の柄に触れることもできずに制圧された。
天晴れ、と誉め称えたくなるほどの動きだ。
おそらく、この“天敵”ならば英国騎士団副団長やエクソシスト連合総長でさえも敵ではないだろう。
もう清六には抵抗できる術はない。このまま、相手の思い通り殺されるしかなかった。
“天敵”は、床に倒れる清六に馬乗りになっている。
「……ところで、今死ぬのも今殺されるのも、同じでござるよ?」
「じゃあ、もう一つ追加してやる」
ニヤリと下卑た笑みを浮かべる“天敵”。
「今日こそ、一緒の布団で寝ろ」
天敵こと珠代は宣言した。
「嫌でござる!」
「ふざけんな! 兄妹が一緒の布団で寝るのに、何を恥ずかしがってんだ!」
「違うでござるよ! 珠代は絶対、何かしてくるでござる! だから、嫌でござる!」
「うるせぇ! そんぐらい我慢しろ! 俺を店に置いてったんだろ!? 金持ってなかったんだぞ! あの後、大変だったんだからな!」
鼻の先がぶつかり合うほど顔を近づけさせ、珠代は怒鳴る。心なしか、その目には涙が浮かんでいるように見えた。
「どうして、あんたは……いつも俺を置いていくんだ……! そんなに俺のことが……っ!」
その後の言葉が続かない。
珠代の表情には様々な感情が含まれている。
憤りと悲痛が、ない交ぜになった顔。
清六は自然と目を背けてしまった。なぜ珠代が、普段とは違う一面を見せてきた理由がわかっていたから……直視することができない。
わずかな沈黙の後、
「もういい。清六なんか死ね」
立ち上がる珠代は、清六の金的に一撃を放った。
「ごほぉ!」
悶絶する清六を後目に、清六の自室にあった椅子に座る珠代。
「で? あんたは、あのルシアっていうクソガキが気になってんのか? 不倫か? 浮気か? 裏切りか? 姦通罪で殺すぞ」
「べ……別にそう言うわけでは……ござらぬよ……」
ヨロヨロと立った清六は、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。
「ルシア殿を見ていると、放っておけない感じがするのでござる」
「なっ!? あ、あんた……やっぱり!」
「そういう意味ではござらぬ」
珠代の驚愕を一蹴すると、清六は床に座り込んだ。
「珠代……拙者は見識が狭いゆえ、ぜひ教えてほしいことがあるでござる」
「何だよ。恋愛相談なら、締め技で答えるぞ」
「……拙者達が抱いている“正義”は正しいでござるか?」
迷いを映した瞳を珠代に向ける。
この国に来て、様々なものを見てきた。当然と思ってきた価値観が瓦解し始め、清六の思想に歪みが生まれている。
国を疑い、国に異議を持つ者。
国を救った者を貶し、嫌う者。
民は国のため、天皇陛下のためにある――そう教育し続けられた清六には信じられないことだった。
「尽忠報国……拙者達の“正義”は常にお国の為でござる。しかし、この国は……拙者達の生きている世界とは違うでござる。文化も、価値観も、教育も……それ故、民の一人一人に強い“正義”を持って生きているでござる。まるでここは――異世界でござる」
柳眉を逆立てていた珠代は、気持ちを切り替えるように嘆息した。
「俺達、兄妹は同じ風景を見てきたつぅのに、なんでこうもあんたはヴァカなんだよ。その問いに俺が答えてどうすんだ。他人から認められて、自分のあり方を納得するような奴なんか、俺は嫌いだぜ」
「しかし――」
「あぁ、うざってぇ。なら、自分で答えを出せよ」
椅子から離れ、近寄る珠代。目の前で仁王立ちをする。
「問題だ。あんたよりも百倍強い鬼が百人の民を人質に取った。百人を殺されたくなくば、天皇陛下を殺させろ。そうすれば鬼は消える。さて、あんたはどうする?」
まるで心理テストのような質問だった。
清六は逡巡することなく、
「お国のためならば、百人の民を切り捨てるでござる」
「ふぅん。じゃあ、もう一つ問題だ。もしも鬼の要求が天皇陛下ではなく、俺だったら?」
「むっ……」
言葉が詰まってしまった。
珠代は一度死んでいる。
そのとき、清六は思い知った。
半身を失う苦しみと家族を失う痛み。
あんな想いは二度と嫌だ。おそらく、その二度目の体験をしたときには、清六は心を保てる自信がない。
百人。そんな数の命と珠代を天秤に掛けることなどできるのだろうか。
もし天皇陛下と珠代だったら、大義のために清六は珠代を切り捨てる。
しかし、この場合は違う。唯一無二の大切な人と百の命を選ばされるのだ。
清六はあぐねり、オーバーヒートしそうな頭で答えを捻出した。
「百人と珠代を救うのは、駄目でござるか?」
「ヴァカ。あんたより百倍強い鬼に勝てるはずねぇだろ」
手厳しく言い放つ珠代ではあったが、その表情は和やかだった。
「むむむっ……」
清六は腕を組み、思考に没頭する。だが、結局答えは見出せず、
「珠代はどうするでござるか? 拙者と百人の命のどっちを選ぶでござるか?」
「関係ねぇ」
一息の間が入る。
「俺にとっちゃ天皇陛下が死のうが、百人が死のうが関係ねぇ。俺にはあんたがいればいいんだ。正義なんていらねぇ」
正義の要らない正義を語り、珠代は微笑みを作った。
だから――と言う。
「そのために、俺は体を捧げたんだよ」
+++
月が見下ろす宵の世界。太陽は消え、世界は闇に閉ざされた。昼間は存在感の強い黒色の結界も、今では闇夜に紛れ、目視しづらくなっている。
人の町を一望できる精霊塔の頂きに人影があった。
精霊塔の頂きは尖塔であるため、人が登れるような場所ではない。
だが、そこには確実に何者かが立っていた。
「カカカカッ、テンシごッこもなかなかタノシいねー」
それは人外の生き物だった。異形の存在の背中には肉と骨で出来た翼が生えている。
悪魔アンドラスの視線の先には、夜の闇よりも深い結界があった。
「でもでも、タノシいジカンは今日でオシマイ。これから、もッともッとタノシーことがハジまるんだからネッ」
歪む口元から牙が現れる。
「サンザン、チューコクしてたのに、ムシするなんてバカだねェ! 後悔しても、もうオソいよッ! タノシータノシー宴がハァジまるよー!」
結界の闇に変化が起きる。
ポツリポツリと、幕に穴が空くように小さな光が生まれる。その光は星々だった。
闇に光が生まれる――それは結界の崩壊を意味していた。
350年の年月を経て、長き封印が解かれる。
すると、星々が再び闇に覆われた。
封印が戻ったわけではない。
暗雲のように数え切れぬほどの悪魔の軍勢が空を埋め尽くしていた。
響きわたる轟音は、戦争の始まりを知らせる悪魔の咆哮。
350年ぶりの悪魔との戦争が再開された。
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