(11+11)÷2

カゲトモ

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「あらっありがとう」

「別に、ついでだったし」

 買い出しの帰りにミケの店に寄った。今日店で出すものを買い忘れたから、買って来て欲しいと連絡が来たのだ。もう顔面工事始めちゃってるから、とか理由を付けて。

 まぁ確かに、顔面工事の途中で買い出しに出たらゾンビが出たのかと大騒ぎになるから仕方ない。

「ゾンビは失礼過ぎでしょ」

「間違ってない」

「ちょっと左右で目の大きさが違うだけよ」

 と風が起きそうな睫で言う。

「てか、こんな大切なもの忘れるなよ」

 肩から掛けていたエコバッグをカウンターの上に置いた。

「ごめーんっ、助かった」

「ったく、今日店のイベントで使うんだろ」

「そうなのよ、それなのにうっかり忘れちゃってね。はなちゃんが買い出しに行ったの見ていたし、お願いしたのよ」

「まぁ俺も今日は店で出そうと思ってたし、別にいいけど」

 うちの店では毎年この日はマドラーとして提供している。もちろん合わない酒の場合は別付けで。

「意外とマドラーとしても使えるし、お客様の評判もいいしな。お前のとこは今年も罰ゲーム?」

「失礼ね、罰ゲームじゃなくてご褒美よ」

「それってスタッフにとってじゃなくて?」

「ある意味ね」

 ふふふ、と不気味にミケが笑う。そう、今日一一月一一日は某菓子メーカーの定めたとあるお菓子の記念日。そう、あの棒菓子。

 企業に踊らされていると思いつつ、ついつい手に取ってしまうのは、それくらい定着していると言うことだろう。

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