卑弥呼様


 こんな夢を見た。


 少し離れたところで、卑弥呼様がマラカスを小刻みに振りながら微笑を浮かべている。

 遠くはないが、話すには声を張り上げなければいけない程度の中途半端な距離から見える卑弥呼様は平面で、デフォルメ化されたモノクロイラストの姿をしていた。

 服装や髪形自体は、どちらかというと飛鳥時代のものに見える。日本史にはそれほど詳しくはないが、推古天皇のイラストと言われたら納得しそうな見た目だ。それでも私は、その人物が間違いなく「卑弥呼様」であることを確信をもって理解している。

 こちらが何度か声を張り上げて「何?」と呼び掛けても、卑弥呼様は何も答えてくれない。ただ離れたところから微笑みを浮かべて、こちらをじっと見つめている。

 両手に持っているマラカスは、その間もずっと小刻みに揺れ続けている。

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