重力による暗殺

 こんな夢を見た。



 駐車場で、他人の車に乗り込む人を見ている。

 その人物が助手席に座りハンドルを握る真似をした途端、上から見えないプレス機にでも掛けられたように車がベコベコにひしゃげてしまった。

 他に乗客がいるかどうかはよく見えないが、ああこうやって暗殺するのだなと私には分かった。

 ただ一人無傷の暗殺者はグレイがかった薄緑のダウンジャケットのフードを目深に被ったまま車を降りると、そのまま何事も無かったかのようにポケットに両手を突っ込み駐車場を横切っていく。

 これ位の背格好なら特徴もなく、年齢も性別も検討がつかないので監視カメラに映っても問題ないのだろう。小柄な私には真似が出来ないので羨ましい。

 それならわざわざ車に乗り込まなくても、遠くからあのプレス機の能力を使えば良いのではないかとふと疑問に思っていると、「そういう便利な能力ならいいんだけどね」と暗殺者に苦笑して返された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る