俺をアートブックにするな


 こんな夢を見た。


 日頃教養とは程遠い生活をしているはずの後輩が、何故か人のことを絵画で例えてくる。

 機嫌のいい時の先輩はこの絵、冷ややかな目線を向けてくる先輩はこの絵。おっかない笑顔で問い詰めてくる先輩はこの絵、嬉しいのにそれを前面に出したがらず、その癖嬉しそうなのが親しい人間にはバレバレな先輩はこの絵と次々と挙げられて、いささか落ち着かない気分になる。

 このがさつな後輩が何時の間にこんなに絵画に詳しくなったのかと思いながらも、こうして聞くと自分に随分と雑な扱いを受けているらしい後輩に少し同情し始める。

 だが、趣味に没頭して楽しそうな先輩の絵、と『グランドジャット島の日曜日の午後』を示されたところでとうとう謎の気恥ずかしさに耐えきれなくなり、いい加減にしてくれと頭を抱えて思わず呻いた。

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