ほたるちゃん

 こんな夢を見た。


 父方の祖父が死んだらしく、一応義理で葬儀に出席することになった。

 実家で支度をしている途中、いきなり衣装棚の左脇から小さい子供が顔を出した。名を尋ねると、ほたるちゃん、と自分のことを言う。

 男の子か女の子かは、見た目だけでははっきりしない。幼い子の年などよく分からないが、恐らく三、四歳といったところだろうか。仕草や顔の幼さから見るに、幼稚園に行っているかいないかという程度の年齢だとは思うが、体つきはしっかりしている。少し寄り目気味の、変わった顔立ちではあるが、愛嬌のある顔つきだ。

 ほたるちゃんはお手伝いをしようとしてか、家のあちこちを歩き回る。

 途中私の片親に何か言われたか、少しむくれた顔つきにはなったものの、私のパーカーを畳むと言って洗面台の方へ担いで行く等、動き回ることはやめようとしない。

 私は怪我でもしたらとハラハラしながら様子を伺いつつ、必死に喪服を探しているが見つからない。

 そもそもどこの家の子供だろうか、親はどこで何をしているのか、連絡などした方がいいのだろうか、いやしかし葬儀が終わってからでも大丈夫なのだろうか。そんなことばかり気になってしまい、一向に仕度が進まない。

 一体誰なんだ、ほたるちゃん。



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