時間が来るまでに

猫城

玲と澪

1-1

いつからこんなに生きにくくなったのか……


褒められる生き方をしてきたわけじゃなかった。全てにおいて弟達に劣り、数回の転校により、人とのコミュニケーションの取り方も距離感も分からなくなった。

勿体ないからと服は常にジーンズと着すぎてヨレヨレになったTシャツにパーカー。見た目のせいで嫌われているのかと思った。長く伸びた髪も思いきって切った。


それでも……なにを変えても嫌われていた。最終的には、自分の感情を抑えて周りに合わせることしかできなかった……





________20XX年10月

部屋の中でアラームの音が響き渡る。本棚いっぱいに収まっている文庫本とハードカバー、床に乱雑に散らかされたペットボトル、机の上には本棚に収まりきらなかった本が積まれている部屋で私は目覚める。アラームを止めた後朝早いからかまだ暗い部屋には5分近く早い時計の秒針の音がやけに響く。

「あー…さむ…」

時期のせいか肌寒くなったため布団に包まっていたい欲を抑えながら、布団から出るとフローリングの冷たい温度が足に伝わる。少しつま先立ちになりながら水を飲むために台所に向かう。寝起きのせいであまり頭が働かないうえに寒さのせいか階段を踏み外してしまった。

「痛ってー…最悪…」

足首を軽く痛め、片足で台所に移動するとスマホに通知が一件きた。

『誰かゲームしよー、ルーム立てるから』

大学のグループだった。ゲームをする気分ではなかったから水をコップにいれながら断りのメッセージを送った。

『すまぬ、わいはできぬ』

スマホを閉じ、水を飲み干し、時計を見る。時刻は5時をさしていた。

「バイトの準備しなきゃ…めんどくせ」

そういいながらカーテンを開けると雨が降っており、サボることを真面目に考えていた。

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