第20話「召喚!そして契約」

さぁ、俺の番だ!


俺は魔方陣に魔力を流し込んだ。


すると皆と同じように、煙が巻き上がっていく。巻き上がっていく‥、って、巻き上がり過ぎじゃない!?


そして更に、空気がピリピリと重く感じ始めると、その姿を煙からついに、現しだした。


煙から現れたのは全長6メートル程はあるであろう、人型だが全身に炎を纏った巨人だった。


『私は【大精霊・炎のジン】。私を呼んだのはお主か?。』


見た目の威圧感とは違い、女性的な声だった。


俺は首を頷かせ、自分が呼び出したと素直に答えた。


『だろうな。 普通の人間がワシが呼び出される事などまず考えられぬ。それに此処に現れた時点で、皆がワシの覇気に当てられ、普通なら立つ事もままならぬ筈なのだからな。』


「えっ?‥!!?」


俺はその言葉に疑問を抱き、皆に視線を向けると、皆その覇気に当てられてか、膝をついて動けなくなっている。それに息苦しそうにもしている。


「おい!これはどういう事だ!?」


俺は、この状況が状況なだけに、炎のジンに強く言葉を投げかけた。


『簡単な事だ。 テストだよ。私の覇気をも受け止められぬ物に、ワシと契約すれば、その者の体内にワシの魔力が流れ込み、たちまち燃え尽きてしまうのだからな。』


「なら、もうテストは済んだんだろ?。覇気とやらを解いてくやってくれ。」


『良かろう。』


炎のジンが覇気を解くと、さっきまでのピリピリした感覚がスッ、と無くなり、皆、状態が戻ったのか恐る恐る身体起こしていく。


ただ、ジャイパール先生だけは、未だ腰を抜かしたまま立ち上がることができなかった為、ハーマンドがジャイパール先生を気遣い、駆け寄り肩を支えた。


「先生!!大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫じゃ。しかし、まさか大精霊がでてくるとはの‥。」


「そんなに凄いの?」


俺は、またバカな事を言ったのだろうか?ベルはまた呆れた様な溜息をつく。


「貴方って本当にムカつくバカね。

大精霊と言えば、言わば世界精霊達の王種に君臨する存在よ。魔法を使う者なら誰でも知っている常識。」


王種?ってことは精霊の中で一番上って事か!って、事はプラネリアの森で言ってたウィンディーネってのも凄い奴で、王種と言う奴だったのか!話を流して聞くのは駄目だな。もっと興味を持って物事を聞かないと。


けど、‥大精霊か。


「どうりで貫禄がある筈だ。 始めまして。俺はアルス。俺はテストに合格したと言う事なのか?」


『ふむ、確かに。 ワシが加減していたとは言え、この覇気を受け止めれる奴など早々に 居らん。 だが契約するには、もう1つ条件が必要なのだ。』


炎のジンは、何かを考えているようで、俺は訝しげな表情を作る。


条件?皆んなみたいに名前をつけるんじゃないのか?


「どうすればいいんだ?」


『ワシの手を取り、魔力を流して見てはくれないか?』


「何だ?いいけど‥。ってか俺が触った瞬間、燃えたりしないよね?」


『安心しろ。そんな事はせぬ。 これでお主が主となれるかが問われる。』


炎のジンが、俺の前に燃え盛って見える手の平を広げたので、俺は恐る恐るその手に触れると、以外にもフワッと暖かいだけで、手の平はプニプニしていた。


「じゃぁ、思いっきりでいいのか?」


『構わない。』


俺はその返答が帰って来ると同時に魔力を思いっきり炎のジンに流しこんだ。


すると、炎のジンが一気に膨れ上がり、風船のようにバーン!!!激しい音を響かせと弾け飛んだ。


俺達は驚きの余り尻餅をつく。


「な!!?なんだ?」


「大精霊、弾け飛んじゃったよぉ!!」


皆が余りの出来事に騒ぎ出すと、上空から声がする。


『慌てるでない。ワシはここだ!』


皆が目線を上に上げると、そこに居たのは、長い黒髮を真上でポニーテールにし、褐色肌で俺達より少し年上っぽい少女だった。 容姿の特徴としては、かなりの猫目だ。そして踊り子の様な露出度の高い服から浮き上がる見事な爆乳に見事なスタイル。


ニアでもすごいと思ったが、同等ぐらいだろう。


少女はフワフワと地上に降り立つと、イキナリ俺の前で跪く。


『我、炎のジンは、今この時、アルス様の魔力ににより解放されました。 これより、アルス様との契約に移らせて頂きます。』


そう言うと、いきなり俺に歩み寄ってくる。


「えっ?‥なに?‥ん!!?」


炎のジンは歩み寄ってくるなり俺の唇に唇を重ね、柔らかくて暖かいものが俺の口の中に広がっていく。


経験が少ないので分からないが、上手い!って、この事を言うのだろうか?

意識が遠くなりそうになっていく中、横目でニアとベルが目と口を、これでもかと大きく開ける様を確認する。


「ん‥ふ‥ンン‥」チュパッ!といった音と共に唇が離れ、炎のジンは頬を赤く染めニコッと微笑んだ。


俺は動揺しすぎて動けない。


『ふふ、ニンフの舌は、別格だろう? これで契約は完了だ。ワシの事は【イフリート】と読んでくれ。 これから宜しく頼むぞ」

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