1990だと?

何だこりゃ?小さくなってるぞ!

いつものように駅に向かい、改札を抜けてホームで電車が来るのを待つ。



そしていつも満員の電車に乗って、痴漢に見間違われないよう、両手でつり革に掴み、鞄は上の棚に置いておく。



こんな事をかれこれ20年近くやっている…



見慣れた風景、いつもの様子。


マンネリ化してるのは当たり前。



だが、何故か今日はいつもと雰囲気が違う…



何故だろう?さっきまで家で妻と娘と一緒に朝食を摂って、妻の運転する車で駅まで着いたのはいいのだが…


はて、何かおかしい。



何て言うか、いつもの風景なのだが、ちょっと変だ。



【お前はもういっぺん中2からやり直すのじゃ…】



「えっ?」



ふと周りを見渡した。


誰か今、オレに話しかけてこなかったか?



何だ今の声は?



疲れているのだろうな、そう思って改札をくぐり、ホームで電車が来るのを待っていた。



…あれ?いつもホームで電車を待ってる人達が何て言うか、大きくなっているような…



いや違う、いつもの風景だが、目線が少し違うぞ?



…オレこんなに低い目線だったか?



【ウワッハッハッハッハッハ!お前の身体は成長期の頃に戻っているのじゃ!】



「誰?」



またさっきと同じ声がする…



誰だ一体?オレはまた周囲を見回した。



「あれ?なんか変だぞ…」



ホームで前に立っている乗客、確かこの人、オレより背が低かったはずなのにオレより背が高くなってる!



いや、この人だけじゃない、横にいる人も、後ろにいる人もオレより背が高い!



えっ、何で何で?



【だから言ってるだろ、お前の身体は中2に戻っていると】



「さっきから誰なんだよ!」

オレは周りを見回し、思わず声を上げた。



【何さっきからブツブツ言ってるんだろ、あの子…】



【ちょっとおかしいんじゃないか】



【何だあのガキ、さっきから独り言ばっか言って】



え?何だって?



オレはふと自分の足元に目をやった。



「へ?何じゃこりゃ?」



ブカブカの革靴にダブダブのスーツ…



「オレ、小さくなってる!」



何で何で?ねぇ、どうして?



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