Cp.1 (Another Sight:LXS)

 色彩の混ざり合う世界の中、祭儀場の踊り場のような、紋様の描かれた法陣。

 幻想界の神は、その彼の座たる小さな世界の広間から、その様を見ていた。

 彼を中心とする法陣の頂点には、八色の光の球が配されている。

「彼ら」の思念に呼応するように、青と赤の光の球が力を注がれたように、その光が強くなる。

 それを見た後、彼は再び永い沈黙に戻った。

 やがて再び来る、彼らを試す新たなる運命の波濤を待ちわびる。

 苦境を乗り越える時に最も強くなる、色鮮やかな魂の輝きを望みながら。

「――《イリス》……」

 彼の立つ場所には、その魂を同じくするもう一人がいる。

 彼の言葉を静かに待つ、物言わぬ女の輪郭。

 虹色の光を全身に巡らせる『彼女』の抜け殻は、時を待つように彼の中で眠りについている。

 彼女の存在こそが、幻想の神の企みの――『悲願』と『試練』全ての始まり。


 ――全ては、私と彼女の願いのために。


 彼は、『彼女』に囁くように語りかけ、彼女の目覚めと微笑みの時を待ち望み、今はただ、時の流れを待つように、再び静かな時の中に一人潜る。

 いずれ来る「時」を待ちわびながら、色彩の混ざり合う世界の中で、しばしの微睡に入った。

 夢の中――やがて来る、全てが光に還るその時を、夢に見ながら。

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