逃亡者

「し」と聞けば死と思う

「し」と聞けば詩と思う

きっと死ぬことは背中にあるフィルムを剥がす感覚なんだよ

死はずっと私たちの背中に張り付いていて

肉体がなくなれば剥がれていく

五歳の時に永遠を求めた

十三歳の時に二十歳で命を終えたいと思った

死と詩は同じ匂いがした

私たちは芸術に死の匂いと永遠を嗅ぎ取った

それが私たちが求めていたものそのものだった

私たちが生きている間に逃亡者は殺されていく

宇宙で淋しく歌っているものや

これから生まれる逃亡者が何の躊躇いもなく殺されていく

何も望まないなんて嘘

私たちは逃げ切ることにしたよ

逃亡者であることを誇りに思って

走って、逃げ切って

疲れ果てて、それでも背中のフィルムがはがれるまで

芸術を追い求めていくことにした

私たちの願いは何?

美しき逃亡者になること

それだけ

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