strange days
千凪
はじまり
第1話 出会い
朝は4時半には起きて朝食を作る。
ニュースを見ながら朝食を食べる。
昨日は少しおなかがすいて、残りがないので簡単に作る。サンドイッチ風に決めた。
大学合格祈願のお守りを持っているかしっかり確認する。これがないと落ち着かない気がするのだ。
「財布に入れて、と」
今日は雨が降るらしい。傘を持っていかなければ。お天気お姉さんの受売りであるがそれ以外に知る方法がない。あまり気にせずにしておこう。
「傘も必要だなぁ」
これから高校へ向かう。
毎日体力を落とさないように、2、3キロ離れた高校へ向かう為に、普通の人よりも早く、家を出ている。 こんな時間に道を歩いているのは、会社員やジョギングしている人らやなんかだ。
音楽を聞きながら歩く。
雨は降りそうにない。
郊外から流れは都市部へ。
次第に人通りも増えていく。しかしそんな喧騒を耳にしない為に、音楽を聞いているのだ。
…変だ。何かおかしい。なんだろうこの違和感。
急に感じた違和。何がそうさせているのか、考えるのに時間がかかったが、 少し先の方でコスプレをしているのがいるせいだと分かる。
「あれは…なんだったかな…海外の映画で見たことがある…
そうだバイワに出てきたマシンガンだ。
なかなかに完成度が高いじゃないか」
コスプレは手にしたマシンガンを空に掲げる。
行き交う人は気にもとめない。
コスプレが引き金を引く。
私は嫌な予感がした。逃げなきゃ。何故か分からないけど。逃げなきゃ。
ズババババババババババババッッという爆音。
私は逃げた。
人の波は進む。まだ進む。
銃口がゆっくり下がってくる。
逃げる。逃げる。やめろ。やめろやめろやめろ
ようやく波は引き返して来る。
しかし、もう遅い。
「Ggggggggg!!!」
「そんな…」
悲鳴を押し倒す声は銃声に呑まれる。
コンビニに隠れることにした私は耳を塞ぎ腰を丸め、慌てる定員と客、私と逃げ込んで騒いでいる人らをよそ目にスマホの電源を入れた。
気づいたらイヤホンが無くなっていた。
警察を呼ぶのが正しいのか、何が正しいのかはよく分からなくなっていた。ただ、助けを呼びたかった。
圏外。
書いている文字が読み込めなかった。
仮にもここは首都の近くだぞ?フリーWi-Fiすら飛んでるこの地区で!?
「ね、ねぇ君」
「は、はい」
「携帯が通じないんだけど、君もかな?」
「え、えぇ」
同年代らしい男子は不安を押し殺して気さくに話しかける。
「緊急用の連絡用アプリ、入ってる?」
「RINNEですか?私持ってますよ」
「交換しとこう 一人じゃ不安だし」
「わかりました その…」
「何か?」
「お名前は何と呼べばいいのですか?」
「あぁ、勇作で良いよ 桜庭勇作って言うんだ」
「勇作さんですね よろしくお願いします」
「君は?」
「唯です。優菜 唯って名前です」
「よろしくね、唯さん」
「酷く冷静に見えるんだけど、怖くないの?」
怖い。普通ならば恐怖が感情を支配するのか。
今、私は私がすこしおかしいことに気付いた。この状況で、「怒り」に心を支配されているのは、少し違うのだ。
「怖がってても何もなりませんし、それに私は少し怒っています 自分でもおかしいとは思うのですが」
「怒っている…」
「罪のない人間が、大量に死にました。アレを何とかしないと、これからも死人が出ます」
「正義感が強いんだね 物凄く強い そっか僕も少し自信が貰えたよ 何とかして生き延びなきゃね」
勇作は決意に満ちた顔をしていた。
「ここに居る人皆で助かろう」
…?
静かなのだ。とてつもなく。
この、店内すらも。
勇作が立ち上がる。異変に気づいているのは私だけでは無かったらしい。
店内にいた人は皆外へ出ていた。
狂った様に1点を目指して走る。
ーーー先は、コスプレの方だった。
「何してんだお前らァァァ!!!」
勇作の叫び虚しく皆文字通り蜂の巣にされていく。
他の建物に逃れた人達も皆走って出ていく。
わけが分からない。とてつもなく、やばいということだけ。それだけは確実に感じ取れた。
窓ガラスの先の、正面のマンションの屋上。
赤い幕がはためいているのが見えた。そして皆の足に牛の様な何かがくっついているのが見えた。その牛に引っ張られるように、皆がコスプレへ走っているのだった。
「レッドブル」
「イマジナリ・パワー」
「Ggggggggggggg!!!!!」
「モー」
モー?
足、ちょうどスネの部分。そこから、牛が生えていた。
「何ィィ~~!!!???」
勇作が、出口に向かって走り出す。
「勇作さん!」
辛うじて服の裾を掴めたが、力が強すぎる!
「唯さん離して 君まで持ってかれる」
言うと勇作は私の手を振りほどき、
「ワンダーフール!ドアを〈固定〉しろッ!」
「ア-イ」
すると、全身鎖で繋がれた人形のような何かが出てくるやいなやドアを殴った。
驚くポイントが多過ぎて、理解が追いつかn
「モー」
「なっ!足に!」
「ワンダーフール!〈固定〉させろッ!」
「ア-イ」
ガシィッ!!
脚が、動かない!
「これで大丈夫だろう…」
キョトンとした顔で見つめていると、
「それは何かって顔してるね」
「でも先ずは」
「Ggggggggggggggggggggggg!!!!!!」
「アイツを何とかするのが先みたいだ」
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