第2話プロフィールはほとんど鯖読みだけど、あれもまた一興だよね
俺は見たものを俄に信じられず、部屋を飛び出して二階の妹の部屋を向かい階段を駆け上がった。
「おーい、
ドアを激しく殴打! 妹よ、お兄ちゃんはお前をそんな破廉恥な子に育てた覚えはありません!
「に、兄さんだよね?」
ドアの向こうから妹の狼狽えた声が尋ねてくる。
俺はドアを叩くのをやめて、そうだと強く断言した。
「何をしていた?」
「な、何って……き、着替えてた」
間を空けて答えた妹の声は誤魔化そうとしているように思える。
俺は続けて詰問する。
「何から何にだ?」
「何から何って、制服から私服にだけど。ってかもう着替え終わったよ」
ドアの向こうから足音が聞こえ、次にノブを回す音がして俺は一歩身を引く。
妹が部屋から出てきた。上下スカイブルーのジャージという味気ない格好。しかし相変わらず隠しきれない胸のボリュームが服を内から押していた。
「何か用? ないならどっかいって」
素っ気ない妹に、俺は兄貴風を吹かして詰め寄る。
「お前、兄の俺に何か重要なことを秘密にしてるだろ! 今ここで白状しろ!」
「は?」
こいつ頭がイカれてんじゃね? みたいな目をされた。
ううっ、そんな冷酷な目を兄に向けないでくれ!
「すまん、聞き方が悪かった。うーんと、グラビアデビューおめでとう。俺は応援するぞ」
よし、決まった。俺は親指を立てて爽やかに笑顔を向けた。
妹は目をぱちくりさせて返す言葉をなくしている。
「どうした? 実兄からの祝詞(しゅくし)が嬉しすぎて涙も出ないのか?」
妹の顔を覗き込んで言葉をかけるが、本人は無反応を続けている。
俺に見つめられるのに耐え兼ねたのか、つと妹は目を逸らした。
「冗談で言ってるならやめて」
「冗談に見えるか?」
こくんと確かに頷いて、
「それに今日の兄さん、特別に気持ち悪い」
__中学の頃から薄々気づいてはいたが内の妹にもついに反抗期が……訪れてしまったのか。
「もうお前もそんな歳か。数年すればこの家を出て東京で出会った結婚を約束した愛人を連れて挨拶にくるんだな。大丈夫、俺は妹のお前の意思を尊重する」
なんかじーんと胸に込み上げてきた。
それなのに妹は細くした目で俺を睨む。
「ふざけるだけならゴミ捨て場のカラスに相手してもらえば。じゃ」
そう冷淡に言って閉まるドアの奥に消えていった。
はぁ、正直に話してくれるわけないか。
無理に聞き出すのは諦め、階段を下りて自室に引き返した。
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