超異世界ファンタジー

里憂&抹茶パフェ

異世界の隅っこにて

 ・プロローグ

「貴方は異世界転生をしました……?」


 なんで疑問形なのか。それにその答えを求めているのはこちらだ。

 目の前に立つ秀麗な、淡いオレンジの髪の幼女が、制服姿の童貞変態ヒキヲタニートに話かける。

「俺は死んでないはずだ」

 そうだ。俺は童貞変態ヒキヲタニートなんかじゃない。違う、そうじゃない。そこじゃない。

「いいえ、童貞へんt……あ、いえ、死にました。今から転生させます」

 は? 転生させるってまじで? 展開が急だr……(段々と小さくなり、やがて聞こえなくなる)。


 ・転生した結果

 ん……? ここどこだ?

 視界に入ったのは、森。もしかしたら林かもしれない。とにかく木で埋め尽くされている。

 草木を掻き分け、道無き道を進む。

 あ、あそこに人がいる。


「おーい!」

「オラは怒ったぞぉぉぉぉ!!」


 別に"気"で埋め尽くさないで下さい。"木"だけでいいです。

 サ〇ヤ人になって襲ってきそうだったので、即刻立ち去った。


     *


 そんなこんなで歩いていると、オレンジの髪をした幼女が立っていた。なんか見たことあるぞ?


「おいこら、急に転生とか何考えとるんじゃ」


 オラオラ、展開が急すぎだ。責任取れや。

作者「ご、ごめんなさいイィ(泣)」


 茶番は置いておいて、幼女はこちらに振り返る。やっぱり見た顔だ。俺をここに転生させたやつ。


「なんですか? あぁ、えっと……誰でしょう?」

「とぼけんな! こちとら、何一つ理解出来てないんだぞ」

「しょうがないですねぇ。じゃあすこし過去を振り返ってみましょうか。そしたらおおよそ把握してくれるでしょう」

「おう! 見てやろうじゃねえか」


 どうせ俺は死んでない。もし死んでいたら……。その時はこいつを殺す!


「巻き添え。よくないよ」


 こいつ。心のなかを読んできやがる?!


 少女はプロジェクターらしきファンタジーぶち壊しの何かを持ち込んできて、それを俺の目の前に置いた。

 そして、またしてもファンタジーぶち壊しのテレビのようなものを唐突に出てきた半月型のポケットから引っ張りだして言う。


「テレビジョン~」


 某猫型ロボットににた声だった。

 これはまずいですよ……。〇〇えもん案件ですよ……。


 テレビジョンという何とも不思議な(不思議じゃない)ものの正面についている明らかにボタンなそれをぽちりと押す。すると、画面から光が漏れ出し、視界を奪っていった。


 ・過去を振り返った結果

「電車が参ります」


 声が聞こえて目を開くと、自分の姿は半透明で目の前に俺によく似た少年が立っている。

 ものすごく不思議な気分だった。


     *


 俺は水飼 おさむ。歳は十四。今は線路沿いの黄色いブロックの上に立っている。

 服装はきっちりとした学生服で、背筋よく立っていた。そこに電車が来て、後ろにいた大人達に混ざって一斉に乗り込む。

 学校へ来た。腕にはめた時計は九時を指していた。全然間に合ってねぇし……。

 職員室に向かって遅刻届けを出そうとするが誰一人いない。あれおっかしいなぁと思いつつ、階段を登って教室に入る。

 黒板に大きく、「九月九日にまた元気で会おうな!」と書かれている。腕時計は九月八日だった。

 やっちまったああぁぁ!!

 頭を抱えながら、とぼとぼと階段を下る。

 すると不注意だったのか、階段を踏みはずして大きく転がった。

 それから意識が戻ることはなかった。


 ・現在に至った結果

「わかりましたか?」


 くっそ。わかりたくねぇよ! 学校来る日間違えて階段踏み外して死ぬとか、恥ずか死じゃん!


「そっか……。でここは?」


 俺はすぐに切り替えれる男。恥ずかしいことはもう忘れよう! うん、それがいい!


「それでですねぇ〜。ご親族は死んだところを見て『だっさwwww』と笑ったそうで――」

「もうやめてくれええぇぇ」


 頭が痛い。もうやだよ……。疲れた。このまま死にたい。あ、もう死んでたね。

 どアホかあぁぁ!


 少女は腕にはめていた時計を読むと。

「あ、そろそろ定時なので帰りますね」


 え? 定時とかあるの? ふざけるなよ! コンビニだって二十四時間営業だそ?!


「あとはほかの人に任せて、それ以外はひとりで頑張ってください。ばーい」


 オレンジの髪が風でなびいて、徐々に薄く消えていく。

 手を振る幼女。それを傍観する俺。誰がこんな構図を求めてんだ!

 くっそ……。どうすっかなぁ〜。

 頭をかきむしって、空を見上げる。

 とてもきれいな空だった。そして見えた雲。その上の建物のようなもの。

 そこまで続く太った木。


「え。なにあれ」


 ・勝手に解釈した結果

「話の内容的に、俺は死んだ」


 そう。俺は死んだ。じゃああいつは誰だ? なんで俺を転生させた? そもそも、ここどこだ?


「思いつくのは疑問だけか」

「うっせぇな〜。何も思いつかねえんだよ」


 誰かの声が聞こえた気がして、むしゃくしゃしていたからか、ややキレ気味に反射的に応えた。まったくもって不自然に気が付かなかった。

 がそのことに気が付くと。


「はっ?! 誰だ! どこにいる?」

「見つかるわけねぇだろうが。だってそこにいねぇし」

「……まさか、こいつ直接脳内に?!」

「うざ」

「は?」

「『は?』じゃねぇよ。もう教えてやんないし。じゃあな」

「あ、ちょっと…………。ごめんなさい! 俺が悪ぅございました。だから教えてください」

「ったくしゃあねぇなぁ〜? そうだなぁ〜」


 それからたくさんのことを教えて貰った。話を割愛させてもらい、まとめるとこうなる。

Q1、ここはどこですか? A1、森のなかだ。見たらわかるだ。

Q2、具体的にに決まってんだろ。A2、ここは異世界。あんたが死んだから転生された。こういう回答でええんか?

Q3、ええで。A3、それは問題じゃねぇ。

Q4、転生させたのは誰ですか? A4、←この紙サイズいいよね。あ、違った。名前はわからん。ただ、教会のやつらだ。

Q3、教会とはなんですか? A3、企業秘密だ。何も言えん。

Q4、転生させた理由はなんですか? A4、えっと、教会の連中のことだからなぁ。皆目見当もつかん。

Q5、あなたと教会の関係は? A5、敵同士だ。

Q6、戦ってるのですか? A6、言えない。


     *


 なんだ? 教会って。そのあたりについて全く聞けなかった。

 勝手に解釈するに、教会とこいつらで戦っていて、俺はこいつらを倒すために異世界ここに召喚された? こいつらの目的は教会の悪事を止めること?

 あぁ、考えてたら腹減ってきた。ダメだなこりゃあ。


 ・腹が減った結果

「あぁ、腹減ったなぁ」


 定時で帰宅されてから、おおよそ半日が経った。待てども待てども、幼女が帰ってくる様子や、ほかの人が来る様子はない。

 ためしに、ある程度歩いてみたが、結果はなにもなかった。ただ、森林が続いているだけ。食べ物らしい食べ物もなく、ただひっそりと死にそうだった。

 食のありがたさがわかるな。いつも食事を作ってくれた母親や、それを提供してくれた動物や野菜、その他生き物らに感謝した。

 意識が朦朧もうろうとする。白みがかってきた視界をどうにか止めようとするも、とくになにかできたことはない。

 ああ^〜きそ、逝く逝く……。


「はぁー」


 長いため息を漏らす。

 あぁ、腹減った。何食お? 冷蔵庫になにかあったっけ? は? かあちゃん買ってこいよ。役に立たねぇな。

 それ俺だったわ。


「ふはははははは」


 頭がおかしいくらい笑った。

 立っていたが、力が入らずヘタリ込み、すぐ横に倒れた。


 ・エピローグ

 ひとりの少年がいた。名前を水飼理と言った。

 彼は階段を駆け下りている最中、階段を踏み外して頭を打った。頭蓋骨が割れ、脳震盪のうしんとうを起こしていた。

 一時は生死の境をさ迷っていた。口が時たまパクパクと動く。なにかを発しているようだが、何一つ聞き取れなかった。

 そんな彼は、彼の両親の前で素敵すてきな笑みを浮かべた。

 それから、脱力しへたり込むように息を引き取った。


 ・あとがき

 個人的にあとがきが好きで、小説はあとがきから読んでいます。作者です。時たま、あとがきにネタバレをしている作品だと泣きたくなります。同じ人はいらっしゃいますかね?(笑)

 さて、今回は1日でどれほど書けるかに挑戦みたいな……。平日なんで忙しい中、これだけかけました。目標なんて思いつかないわけで、コンテストを利用させて頂きました。スニーカー文庫編集部の皆様本当に申し訳ございません。そしてありがとうございます(違うだろぉ?!)。別に本当は他コンテストの発表見ている時に面白そうなので挑戦しただけで、不純な気持ちはありません。ほんとですよ? ラーメンにいちごパフェ入れるくらい不純なことはしません。入れてもメンマくらいでしょう(煮玉子でもし)。

 ちなみにスニーカー文庫編集部のS氏はここまでご拝読されているのでしょうか? 最後まで読まないとはいえ、一作品あたり一万字程度は読まれると思うんですよね。どうなんだろうか。それよか、ロケットスタートがいいということで最初からぶっ飛ばしてあとは急降下という、ジェットコースター顔負けの作品展開だったわけですけれども、いやはや大丈夫だろうか……。

 うわっ! あらすじがこんなところまで迫ってきている! 終わりにしなければ。それでは!

          最後の最後まで急降下する作者・里憂&抹茶パフェ


 後に推敲、編集が行われました。誤字、脱字等訂正部分などがあるほか、小説を「ネットの型」にあてはめて書くのが苦手な物で、ご指導等賜ればと思います。

以上で失礼します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る