Crazy Summer Salt

HP3

第1話 未来の君へ

 今日。それは昨日と何ら違わないもの。

 今、君は東京のスクランブル交差点にいる。まあ、アメリカのタイムズスクエアでもイギリスの有名な博物館でも構わない。

 そんな君の目の前には多くの人が見えるだろう。子供連れの家族、カップル、スーツを着た人、警官、ひげの生えた人、禿げている人などがいるのが分かる。その中で学校の制服を着た青年とスーツを着た人を仮に通行人A、Bとする。

 通行人Aは昨日と同じように学校に行き、授業を受けて部活をして帰宅、その後ご飯を食べ、ゲームをしながら寝落ち。

 また通行人Bは昨日と同じ様に満員電車に揺られ、気だるさを押し殺しつつ出社、上司に怒られ夕方まで仕事、その後今日もやっと終わったと少しの開放感に浸りながら家で缶ビールを一缶飲む。

 他の通行人DもGも同じ様なルーティーンを持っている事だろう。

 そう。特に何ら変化のない生活。つまり日常。これが当然でごく普通のことだろうと思う。

 何が言いたいか分からない?まあ、もうちょっと聞いてくれ。ここで少し期間を延ばして考えてみよう。

 十年前、英語でdecade agoかな?君は何をしていただろうか?

 今よりもっと身長が小さかった?足が遅かった?将来の夢はパイロットだった?まだ歩いていなかった?彼女・彼氏がいなかった?俺だったら鼻水垂らしながら校庭で遊んでいたことと思う。

 こんな感じで24時間前と比較しても変わらないと思える様なことも期間を延ばしたものと比べてみれば途端に規模、色、美しさ、思いといった様々なことがうねりを帯びて変化してくる。

 このうねりは人によって個人差があると思う。

 例えば三年前、その日暮らしだった人が人いた。飲み屋で話の合ったおじさんがとある企業の社長で、その人の会社に勤め、今ではしっかり職を得ているかもしれない。彼氏がいなかったけど今ではカッコいい彼氏がいるかもしれない。頭が悪かったけど必死に勉強して、今では東大に入学しているかもしれない。とういう様にうねりには大小様々な大きさがある。

 どうせなら、どうせなら。どうせならデカイ事してみたくないだろうか。「『デカイ事』って何?何だか良く分からなくなくない?」とギャルに突っ込まれそうな事だけど、特にこれといって定義はない。

 人、時代、性別、人種、誰であろうとこれだけは決して変わることのない人としての本能。だと思う。

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