おれに、妹ができました
とけい
親父が残したこれ…
神は、不平等に俺たちに特別な能力を与える。
そして、与えられた能力は、毒にも薬にもなる。
俺は、毒の方だ。
俺の能力は、『future』。つまり、次に何が起こるかわかるというとても便利な能力…だと思うだろう?
俺も前までは、そう思っていたしな。
親父が死ぬまでは…
俺、 高石 竜平(たかいし りゅうへい)は、ただただ平和な日々を過ごしていた。
はずだった、、
親父が死んだことによって俺の平和だった人生に終止符がうたれたのだ。
「高石 竜平さんですね」
黒いスーツを身につけた赤い髪を後ろで束ねた俺よりほんの少し背が低い160cmぐらいで少15、6歳の少女が、親父の葬式が済んだあと、俺に話しかけてきた。
「はい……そうです」
俺は、葬式が終わったあとだったから、疲れた声で話返した。
「この度は、本当に……」
「こんな、親父のために来てくださって本当にありがとうございます…親父もきっと天国とか言うところで楽しく暮らしていると思います。ははっ」
彼女は、俯いて本当に悲しそうにしていた。
俺も悲しくない訳じゃない…
でも、涙なんて出やしない。
悲しいはずなのにな…
「あの、こんな大変なときに何なのですか…」
「はい…」
彼女は、真剣な眼差しで俺を見つめ
「あなたのお父様にお貸しした8000万お返していただけないでしょうか?」
俺は、硬直した。
何も言葉が出てこない…
「8………8000万!?」
何だその大金は、えっ、えっ、8000万ってあの8000万だよな!?
「あの…なんかの間違いじゃないんですか?」
「間違いじゃありませんわ。だって…ほらっ」
彼女は、鞄から何枚もの借用書を出した。
その借用書には、全て親父のサインがしてあった。
「本当に…8000万もの借金を親父が…でも、こういうのって本人が死んだ場合は、無効とかになるんじゃ」
「えぇ。そうですね」
「じゃあ…」
「ですが、あなたのお父様がサインしたこの紙をよくご覧下さいませ」
俺は、もう1度、紙を見た。
「 こ、この紙…この紋章…もしかしなくてもあんた、、王家の…」
「はい。私は、ラミネール王国の『ラミネール・クラリス』第一王女です」
やっぱりか…
「つまり親父は、王家から金をかりたのか?」
「はい!」
俺たちの国は、王家から金を借りた場合には、いくつかの条件が課せられる。
一. 借りた金は必ず返すべし
二. 借りた本人に何かあった場合
その親族が金を返すべし
「三つ。もしも返せない場合それ相応の対価を支払うべし。…もちろん知っていますわよね?」
「…あぁ」
8000万…俺に払える額じゃねぇ。
「見たところ、、あなたは…他に身内もなくお金を返せるほど裕福ではありませんね」
彼女は、俺の方をじっと見つめ…
「そうですね。あなたには、それ相応の対価を支払って頂きましょう。明後日、王宮へいらしてください」
俺は、ただただ頷く事しかできなかった。
返せる金がねぇ。その通りだ。
対価…いったいどんなものなんだろう…
よしっ。久々に『あれ』を使ってみるか。
俺は、静かに黙祷した。
『聖なる理よ我に起こる未来教えたまえ』 草木がざわつき、水面がゆれ水紋ができ始めた。
そして、俺はゆっくりと目を開く。
その開いた目には、未来を見通す『future』の力が宿った。
「見えた!」
たくさんの兵…王妃様が何か光る…何だ?それを、俺に渡してる…
そこで、『future』の力が終わった。
「なんだったんだ…あの光の塊は…」
ズキっ。
んっっ、頭痛が。力を使いすぎたか…
仕方ない今日は、寝るとするか。
そうして、俺は、床に着いた。
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