第61話 2001年9月11日

 大学生のころの私にとって9月はほんとうの夏休みという感じだ。カラオケやショッピングに出かけるのにもってこいだ。中高生は学校が始まって、そのぶんどこも空いている。どうせ8月はレポートで吹っ飛ぶ。


 昼間の事を覚えていないので、特別なことはなかったと思う。自動車学校に行ってたかもしれないというくらいか。まだアルバイトもしていなかったし、当時入っていたサークルで、火曜日の午後以降に活動していた覚えがない。




 私は高校生の時からファイナルファンタジーシリーズにはまっていて、兄であるひげ氏がゲームを買い私がサウンドトラックやアレンジアルバムを買うというのが定番であった。

 夜はゲームか宿題か予習が多いのと、もともとドラマを見ない生活だったのだが、FF8の主題歌を歌うフェイ・ウォンさんが主題歌を歌うだけでなく出演するというのでフェイさん目当てに気にしていたドラマ番組があった。

 「ウソコイ」というドラマで、日本人の男性のところにフェイさんが押し掛けるという話で、今検索してもそこしか記憶がない。


 21時から始まるドラマだと記憶していた。その日は最終回の放送だった。第一話から二話くらい見ただけだったから期待もせず、単に「そういえばどうなったのかな」くらいのつもりで、21時40分くらいだと思うのだが中途半端な時間に思い出して、チャンネルを合わせたのだった。



 チャンネルを合わせたら丁度CM開けだった。だけど、ドラマは流れなかった。高いビルの真ん中あたりから煙が出ているニュース画面で、アナウンサーがしゃべっていた。初めはなんか事故かなとしか思わなかったんじゃないかな。風呂入れって言われて離れるときにチャンネルを変えられてしまったのもある。


 今調べると時系列的には大きく記憶違いではないようだが、ドラマの始まる時間が実際は22時スタートとあるので、二機目が突っ込むところは中継でほぼリアルタイムを見てしまったわけだ。

 どうりで血の気が引いたわけだ。親に風呂入れ言われて、脱衣場から今どきなさそうな正方形の深い古いタイプの風呂桶に沈みながら、真顔で肩を抱いたっけな。


 あまりに唐突というか、突然というか、怖すぎたんだろう。お風呂の中で思ったのは、ドラマがどうなるんだろうということだった。ドラマというか、フェイさんが気になった。

 だが、お風呂上りに付いていたチャンネルはNHKか名古屋テレビ(現メ~テレ、要は今の報道ステーションに当たる枠)なので、もちろんドラマがどうなったかは分からない。翌週に放送しなおした模様。



 映像の記憶以外朧気で、しかもそのあとに展開があり過ぎて、前書いた95年3月20日のようには書けない。でも、あのあと、関連するワードが流行ったのは今思い出すと懐かしい。某巨大掲示板のタリ板(正式名称覚えてないw)とか、ブッシュ大統領(当時)とプレッツェルとか、テロやイスラムがどうとか、ビンラディンが無駄にイケメン高身長だとか、FLASH作品が大量に作られたりとか、不謹慎ゲームとか。


 他に覚えているのは、当時発売前だったゲーム・メタルギアソリッド2の舞台にマンハッタンとかが入っていて、オープニングのムービーに世界貿易センタービルが映っていたのでそこを削ったりするのに延期になるとかならないとかっていう話である。検索すると、予想通りというか、オープニング以外にもいろいろカットがあったようだ。ゲームの腕前はへったくそなので気にしないでください。



 今でも、ウソコイの主題歌だったSeparate Waysを口ずさむとき、当時のことを思い出すことがある。

 そして、これ書くために検索してて当時の映像をYouTubeで見つけて見ながら書いているのだが、やっぱり突っ込む中継映像怖い。当たり前か。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る