第12話 すべてを監督のせいにする話

 まだ朝宮と名乗らないどころか自分の名前が嫌いでひーちゃん(仮名)と呼んでいた未就学児朝宮の関心ごとは、エジプトやマヤなどの古代文明ネタと当時の戦隊モノくらいでした。赤は男子の色だと言って赤い服を拒んで親を困らせたり、ふしぎ発見!の該当の回を祖母の横でハイテンションで見てたりする奴でした。


 たぶんその古代文明ネタからの影響で宇宙や天文に興味を持ったのだと思うのですが、はっきりこのころ、というのは小学2年生くらいのNHKスペシャル銀河宇宙オデッセイしか分かんないのですが、アニオタゲーオタ的な要素は皆無な奴でした。

 当時は夕方にいろいろやってたやつを時間が合えば見るというだけでした。テレビの主導権は最年長である祖母にあったので、相撲が始まれば夕方のアニメは見られませんし、夜はバラエティ番組は存在さえ知らないので学校で浮いたのは言うまでもありません。


 そんな状態で、ある夜偶然親がチャンネルを回していて、アニメがやってるのを見つけたわけです。それが『ふしぎの海のナディア』(後から知ったのですが第2話)だったのです。


 見終わるころには人生変わりましたよ。


 皇帝陛下の存在によって声優の名前(塩沢兼人)を初めてキャラとセットで認識し、親がふいに買ってきたサウンドトラックCDによってアニソン&サントラにふれ、ライナーノーツを読むことで貞本絵と庵野秀明という名前を脳に刻み込み、それが1995年9月、アニメージュを見た私にエヴァの存在を知らしめたのです。

 なお私が『皇帝陛下』と呼ぶのはたぶん銀河皇帝×2と彼と星宿様しか存在しません。陛下と呼ぶ相手はいらっしゃいますけどもね。




 どれくらい心に刻まれたかというと、高校3年生のある日、塩沢様がお亡くなりになったというのをめぐさんのラジオ辺りで知った頃のメモに


『このクラスの半分くらい殺して、アステカの遺跡にいけにえとして捧げたら』命を取り戻せたら素敵なのになー(『』部分原文ママ)


というのがあるくらいです。(当時、ただでさえ進路で悩むというのに、いじめやらなにやら酷かったですので恨みが半端なかったのでしょう)


 高校生くらいの時は、完全にエヴァ信者状態でしたので、自分が死ぬというのは考えなかったかと思いきや、大学時代に片付けしていて恨みと悲しみがこもったメモを大量に捨てています。作品がなければ自分を支えきれなかったに違いありません。


 しかし、パニック障害(だと通院時に判明した身体異常)発症時に『式日』と出会ってしまったのだけは失敗だと思っている。影響を受けて電柱やら線路の写真とってたこともあります。


* * *

個人的な庵野作品のオススメ


・面白い奴(製作年ふるくても平気)

……『トップをねらえ!』がおすすめ。起承転結があって普通に物語を楽しめて、なおかつ、ちゃんと最後に盛り上がる。2010年の探査機はやぶさの帰還の際ツイッターなどで飛び交った『オカエリナサイ』の元ネタ。


・エヴァ的衒学趣味を楽しみたいorエヴァ以外の代表作ってないの?

……『ふしぎの海のナディア』がオススメ。ただし、ジャン君のようにナディアの性格を受け止めきれなかった場合は途中を飛ばしてもよいので最終4話くらいは見てください。お願いします。


・マイナーとかマニアックな奴がいいなーorエヴァにあるような心理えぐり系希望

……『式日』がおすすめ。実写映画はたぶんシン・ゴジラ抜きにするとハニーかラブポが代表作だと思うので触れてる人少なそう。主役の女優さん男優(映画監督)さんのファンくらいかもしれないし、他より個人的に手に入り難かったからきっとマニアック。


・挫折しても原作読んで何とかなる奴で様子見したいor女子高生が好き

……『ラブ&ポップ』がオススメ。原作は村上龍さんの小説。なお、違いがないとは言っていない。(遠い目)


・俺のほうがアンノなんかより強いんだ!(何に?

……がんばって電子の海の中から『DAICON III OPENING ANIMATION』を探せ。フッフフ。彼一人の作品じゃないけどね。





 とりあえず、『私は監督作品のおかげで生きながらえている』というのをどこかに書き残したかったので思いついたときに記しておく。

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