愛の調べ

@morikatsuyuki

第1話

その日は雨の日だった。クラスメートと縁日に出かけた時、私は嬉しい気持ちでいっぱいだった。クラスメートに好きな人はいなかったが、何人かに好意を寄せられているという事実はあった。出席番号が前後の琳多とは特に仲が良かったわけではないが、会話を盛んに交わす関係ではあった。

「今日の縁日には俺が仕切る催しがある。みんな集まって欲しい」

そう彼はいうと、途端にその催しのあたりにクラスメートは集まってきた。私ももちろん参加をすることになった。琳多のお父さんは区役所のお偉いさんだったので、彼の家は豊かだった。お家も広かった。おじいちゃんがセッティングをしたという宝探しの催しは、随分と立派だった。当時人気だったゲーム機、キラキラしたアクセサリーなど、宝物に目を奪われた。

「私もあんなの探してみたい」

そう私がいうと、クラスの男子たちは必死になって探した。

「アスカ、こんなのどう?」

特に仲の良かった実は私に人気キャラクターのポーチを差し出した。実には特別な感情を抱いていた私は、満面の笑みで受け取った。

「そろそろお開きかな」

そんな声がちらほら聞こえてくる中、琳多が張り切ってこう言った。

「結果発表するよ!今日の目玉商品のトップスリーを見つけたのは可奈、郁、悠斗!」

そして琳多はその三人にメダルのようなものを渡した。私は羨ましそうに眺めると、近くにあったゴロゴロ荷台に足をかけ、遊び始めた。

「琳多ありがとう!また来年も集まりたいね」

みんなが夕飯を楽しみに家に帰ろうとしたその時、大変なことが起きてしまった。

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