一章 27 ユグドラシル薬

ランガルスが消滅し残滓の残る場所に何かが地面に落ちる硬い音が響く


「ふぅ・・」


消えゆく様を見届けたレフィルは小さく息を吐き、長剣を腰だめの鞘に収める

そして落ちている黒い指輪を拾い上げる

先程の音は指輪だった


「やっぱりか・・・」

「あの・・・」


思案するレフィルにクリスティアは声をかける

振り返ると一部を除いて固まる一同にレフィルは首を傾げる


「ん?どうしたんだみんな?」

『あ、いやレフィルさんて物凄く強いんですね。強いのは分かってたけど桁違いでした』

「まぁ物心ついた時から剣振ってたからね。このくらいは当たり前さ」


さも何でもない事のようにレフィルは言う


「あ、ありがとうございました。おかげで助かりました」

「こちらからも言わせてくれ、レフィル殿達がこなければ危なかった。領地を救ってくれて感謝する」


クリスティアとマキシムは頭を下げて礼を言う


「気にしなくていいよ。半分は成り行きみたいなもんだから」

『成り行き?所で、なんでレフィルさんはここに?』

「ん?前に言ったと思うけど仕事さ。調査中でね。コタロー君達がいたお陰でこちらもうまく立ち回れたよ」

「レフィル!」


ミレリアの言葉にレフィルは大丈夫と片手を上げて制す


「まぁさすがに仕事内容は言えないけどね」

『わかってます』

「まぁもう少しで終わると思う。ここに来た意味もあったし、コタロー君にも会えたからね」

「そろそろ行くぞ」


ミレリアが急かすように言う


「ああわかったよ。コタロー君悪いんだけど僕らは行くよ。結構立て込んでいてね」

『もうですか?』

「今日中には次の街まで行きたいんだ。」

『わかりました。気をつけてください』

「またコタロー君達とは近い内会えるような気がするよ」

『自分もそんな気がします』

「それじゃあ、後始末を押し付けるようで悪いんだけど」

『いえ、終わったら教えてください』

「そうだね。じゃあねコタロー君。みんなも」


そう言いながらレフィルとミレリアは広場を後にする


「あ、そうだ。コタロー君1ついいかな」


レフィルが立ち止まり振り返る


『え?はい』


何だろうと狐太郎は首を傾げる


「怒りに任せた剣は曇る。気を付けた方がいい」

『あ、はい。ありがとうございます』

「あと感情的な剣筋は見切られやすい。熱くなるのはいいけど冷静さを失ったらダメだよ」


礼を言う狐太郎にニッコリ笑いかけながら「それじゃあ」と今度こそ振り返らずに歩き出した


「そうだな。あの時の怒りに任せたコタローの剣は威力はあったが力任せでスキだらけだったぞ。あれで倒せたからいいが、防御されたら致命的だったろう」


いつの間に隣に着ていたウェルキンが指摘する


『気をつけるよ』

「ふん、わかってるならいい」


素直に頷く狐太郎にウェルキンは些かバツが悪そうな顔をする


「猪突猛進のウェルキンに言われたくはないと思いますが・・・」

「なに!?」


デュラインの至極真っ当なツッコミにたじろぐウェルキン

面々を見回すとみんなうんうんと頷いていた

あろう事かクリスティアまで

しかしここでカッとなって言い返せば思うツボだとウェルキンは反論できず拳を握りしめプルプル我慢していた


「それでは私もそろそろお邪魔になりそうなので」


それまで沈黙を守っていたミルワースが口を開く


「あ、ミルワース様・・・」


精霊の腕輪の召喚は一度きり

それを知っているクリスティアは寂しそうな顔をする


「大丈夫ですよクリスティア。またいつでも呼んで構いませんから」

「え、でも・・・」

「精霊の腕輪は精霊を呼び出せるのは1回だけ、ですか?」

「どうしてそれを・・?」


精霊の腕輪は・・・と続けようとし、ミルワースに続きを言われ驚くクリスティア


「ふふふ、それは半分は本当で半分は違います。腕輪を見てみなさい」


言われてクリスティアは腕輪に視線を移すと


「あ、割れてない」


割れ所か傷すらついてない事にクリスティア含め一同は目を見開く、約一名を除き


「物理的か故意・・に壊そうとしない限り壊れません。なのでいつでも呼んで構いませんよ」


ニコリと微笑むミルワースにクリスティアもつられて笑顔になる


「はい、ありがとうございます」

『あ、ちょっといいミルワース?』

「あら、ようやく声をかけてくれたわねコタロー。それで何かしら?」


狐太郎がミルワースを呼び捨てにした事にウェルキン達は驚くが、さらにミルワースのフレンドリーな接し方にさらにギョッとする

クリスティアとメアリーは知ってるので別段驚きはないが


『その腕輪、あのダルマが付けてたら?』

「もちろん割れてた・・でしょうね」

『やっぱり・・・』


1回しか使えないと言う理由をなんとなく察した狐太郎は溜息をつく


「他には何かあるかしら?」

『いや特に・・・あ、みんなは元気?』

「ふふ、コタローがいないからあまり元気じゃないわね。特にお爺様は寂しそうよ」

『これが終わったら一度帰るよ』

「首を長くして待ってるわ。それじゃそろそろクリスティアの魔力も無駄にしたら悪いし、帰るわね」


言うと、ミルワースはクリスティア達に向き直る


「みなさん、コタローをよろしくおねがいしますね。クリスティア、また会いましょう」

「はい、ミルワース様もお元気で」


手を振りながら消えていくミルワースに一同は声が出ない(若干名を除き)

子供を心配する親のような感じで帰ったミルワースに狐太郎は恥ずかしさのあまり顔を赤くして内心呟く


『(精霊の威厳はどこいった・・)』


と・・・・


「しかし本当に精霊と一緒に暮らしているんだなコタローは・・・」


未だ驚きから立ち直れてないのかウェルキンは狐太郎を見ながらしみじみ呟く


『できればあまり言いふらさないで欲しいな』

「わかっている」

『精霊達の方もね』

「ああ、こぞって精霊の森に大軍を送りかねないからな」

『森が荒らされるの好まないだろうし、俺も困るし』


視線をマキシムに向ける


「あ、ああ。わかっている。何しろ助けてもらった恩もあるから他言しないよう誓う。ボルグも墓まで持っていけ」

「もちろんそのつもりです」

『ありがとう』


マキシムとボルグの言葉に素直に礼を言う狐太郎




「しかしようやく終わったか・・」


マキシムがそっと呟くと改めて狐太郎やクリスティア達に向き直る


「色々驚くべき事はあったが、奪還できたのはコタローや王女様達の助力があったから。礼を言わせてくれ。本来なら何か褒美を与えなければいけないんだが・・・」

「いえ、私たちも助けてもらわなければ何もできませんでしたから」


頭を下げるマキシムにクリスティアは気にしなくていいと手を振る

頭を上げたマキシムはそんな事はないと言いたげだったが譲らなそうだったので引き下がった

そして避難誘導が終わったのか広場に来ていたグリッドとクリスティアの側にいるボルグの2人を呼ぶ


「グリッド、お前は領民にこの事を知らせてこい!ボルグは同じように団員達に伝えてフリッグ様とローリア様を牢から出しすぐに治療班を呼べ」

「「はっ!」」


勢いよく返事をした2人はすぐに行動に移し広場から走っていった


『マキシム?』

「一応フリッグ様が領主だった時は騎士団の隊長をやっていたからな」


ニヤリと笑う


「ま、今はただの門兵だがな」


と、続けおどけるように両手を上げるマキシム


「とりあえずはフリッグ様の館に行こう。館の部屋を2つ使えるようにするから今日はそこで休むといい」

「わかりました」


マキシムの提案に了承したクリスティアに他の面々も頷き、移動しようとした所に一台の大きめの馬車が広場に入ってくる

同時に鎧を着た兵士が十数人広場に入り散らかった残骸等を片付けて行く

大型の馬車は狐太郎達の近くに止まり、御者の騎士団員?が降りてきてマキシムの前に止まると敬礼する


「お疲れ様です!ボルグ様が必要だろうと言われて馬車をお持ちしました」

「ご苦労だった。フリッグ様はどうなった?」

「はい、ボルグ様の指示で地下牢からすぐにお出しして今は治療班を当てて治療中との事です」

「手際がいいな準備してたか。わかった。お前はそのままここに残り他の奴らと一緒に広場の片付けを頼む」

「わかりました」


返事をした兵士は他の兵士と一緒に片付けを始める


「それじゃ行くか。これなら全員乗れるだろう。御者は俺がやろう」


マキシムは言うと御者台に乗り込むと、広場の片付けを眺めていた狐太郎達も馬車に乗り込んだ

全員乗ったのを確認したマキシムはゆっくり馬車を発進させる


「それでフリッグ様の容態なんですが」


ガタゴト揺られる馬車の中でクリスティアはマキシムに話しかける


「ああ、王女様は見たと思うがかなり状態は悪い。予断は許さない状態だ」


マキシムは前を見据えながら返事をするが若干声が暗い

先程ランガルスに解毒法がないと言われたのが頭に残ってるのだろう


「頼みのユグドラシル薬も数百年は作れたと聞かないからな」


ポツリと呟く声に力はない

しばらく重い空気が漂い馬車が走る音だけが響く


『あるよ』


唐突に口を開いた狐太郎にマキシムを除く一同は狐太郎に振り向きながら一瞬意味がわからず沈黙が流れる


「え?今・・なんて?」


クリスティアが小さく呟く


『ユグドラシル薬あるよ。ポシェットに3本あるはずだ』

「ほ、本当か!!」


馬車がガタンと止まったので何事かと前を見ればマキシムがこちらに身を乗り出していた


『うん、ある。昔師匠に覚えさせられたからね。散々作ったよ』


スパルタだったのか思い出して苦い顔をしてる狐太郎


「それが本当なら礼はいくらでもする。頼む!一本くれないだろうか」

『もちろん構わない。効くなら喜んで渡すよ。もちろんクリスティア様にもね』


黙って聞いていたクリスティアも狐太郎の言葉に驚きを隠せない


「いいのですか?」

『もちろんいいよ。必要なんでしょ?』

「ありがとう・・ございます・・・・」

「そうと決まれば急ぐぞ!」


言うが早いかマキシムは御者台に座り直し馬にムチを入れる


『うわっ』

「きゃあ」×2

「危っ!」

「おっと」

「痛っ」


荷台の狐太郎達は急発進で落ちないように必死に捕まる


マキシムが飛ばしたおかげで館へはあっという間に着いた

メアリーが乗り物酔いした以外は特に問題はなかった・・・


「マキシム隊長お待ちしてました」


入口に近づくと付近に兵士が2人立っていてうち1人が声をかけてきた


「ああ、フリッグ様の容態は?」

「あまりよろしくありません・・・」

「そうか、なら先にフリッグ様の方へ行こう」

「失礼ですがその者達が?」

「協力してくれた王女様達だ。フリッグ様の病気も治せるかもしれない」

「なんと!?では早急に」


兵士の1人は頷くと館内に走っていった

知らせにいったのだろう


「では行こうか」


マキシムに促され館に入る一行


館の中へ入るといきなり吹き抜けのようになっており天井が高い

奥には二階へ続く立派な階段が続いている

一階はキッチン、リビング等の生活空間なのでマキシムはそのまま階段へ向かう


しばらく歩いていると二階の階段から執事っぽい人がが走ってくるのが見えた

マキシム達に駆け寄ると声をかけてくる

年は50を過ぎたあたりであろうか白髪まじりの髪を後ろに撫で付けている

眼光は鋭く昔は武人だったのではと思わせるが今は燕尾服を着ていて伺いしれないが、その身のこなしはまだまだ現役でいけるんじゃないかと思わせるくらい無駄のない動きだ


「マキシム様お待ちしてました」

「アレインか、案内してくれ」

「ではこちらへ」


アレインを先頭に狐太郎達は移動を開始する

階段をさらに上がり三階に到着し、さらに歩くと奥まった場所に少し大きめな扉がある


「ローリア様、アレインです」


扉を軽くノックすると中から「どうぞ」と声が掛かったので扉を開ける


「中へどうぞ」


アレインは入らないようで、マキシムを先頭に部屋の中へ入った

中は広々としており手前にテーブルにソファそして間仕切りのような物で遮られているが、奥にベッドがあるのだろう

そちらから話し声が聞こえたのでしばらく待つと夫人のローリアが姿を見せた

牢の時とは違い落ち着いた色合いの服を身にまとっている

ローリアは待機している侍女に視線を移すと侍女は部屋を出ていく


「クリスティア様、この度は我が領地を救っていただきありがとうございます」

「いえ、気にしないでください。結果色々わかったこともありますから・・・」

「魔族ですか・・話を聞いた時は驚きましたが・・」

「とりあえずフリッグ領の脅威は去ったと思います」

「感謝します。マキシムにも迷惑かけましたね。大変だったと聞きました」

「勿体ない言葉です。我々はフリッグ様に忠誠を誓った身ですから」


その言葉にローリアは「ありがとう」と述べるも、表情は暗い

しばらく沈黙が部屋を支配するが、クリスティアが意を決して口を開く


「ローリア様、フリッグ様は?」

「奥のベッドで寝ています」

「症状は?」

「進行が早いようで、すでに四肢は動かない状態で・・・耳と口はかろうじでなんとか・・今は治療班が付いていますが・・」


改善は見られないのだろう

このままなら今夜が危なそうだ


「一刻の猶予もないな・・・コタロー」


マキシムの言葉に頷くと前へ出る


『ローリア様、自分は狐太郎と言います。訳あってクリスティア様と行動を共にしています。田舎者なので作法を知らないのでその辺はご容赦ください』

「ええ、話は聞いています。今回の騒動もあなたがいなければ成功しなかったと。作法などは気にしないでください」

『ありがとうございます。それでさっそく本題に入りたいんですが』


言いながら狐太郎はポシェットからユグドラシル薬を一本取り出しローリアに見せる

ガラス瓶に収められた液体は透明で濃い青色をしている

ウェルキン達はそれが事前に聞いていたユグドラシル薬だとわかり息を呑むと同時に目を見張る

逆にローリアは首を傾げている


「それは?何かしらの治療薬にも見えますが・・・」

『ユグドラシル薬です。これならフリッグ様の病気も治せると思います』

「え!?」


ローリアは一瞬何を言われたのかわからなかった


「まさか・・本物?」

『はい』


ローリアが驚愕の表情でいると、奥から数人の白いローブを着た人たちが出てきた


「い、今ユグドラシル薬と言ったか?」

『はい、これがそうです』

「中を確かめてもよろしいか?」

『いいですよ』


白ローブの男は狐太郎からユグドラシル薬が入った瓶を恐る恐る受け取る

なんせ数百年見ることができなかったユグドラシル薬

緊張するのもわかろうというものだろう


男は瓶の蓋を取り匂いを嗅ごうとしたが、開けた瞬間に立ち昇る魔力の濃さに驚きを隠せない


「た、たしかに強力な治療薬だ。しかし・・・ユグドラシル薬かと言われれば判断出来ない」

『え?』

「数百年作れた者がいないのだ。確かめようもあるまい。過去何人もの薬師を名乗る人物からユグドラシル薬を作ったと言われてきた」


なるほど、数百年見たことがないと言うのは裏を返せば本物かどうかがわからないと言う事だ

師匠なら判断できるだろうが・・・

そんな物を作ったら一生遊んで暮らせる大金が入り込むに違いない、もし本物ならばだが


「中には普通のポーションをユグドラシル薬だと言ってきた奴もいたそうだ。揃って炭坑行きだったがな」

『それでどうすれば本物だと信じてもらえるんですか?』

「未だかつてこれ程魔力が込められた治療薬は見たことがない。毒物の反応はないし治療薬には違いないだろう。そして他にもう方法が残されてない」

『飲ませてみると?』

「ああ、ユグドラシル薬ではなくてもこれだけ魔力が濃い治療薬だ。多少は効くと思う。もし、これも効かなければ・・・」


打つ手はないと言うことだろう

実際治療班はもちうるすべての治療法を試したと言っているし他に方法はないのだろう


「わかりました」


今まで黙っていたローリアが真剣な顔で狐太郎を見据える


「コタロー様、おねがいします」

『わかりました』


返してもらったユグドラシル薬を手に持ち、ローリアを先頭にベッドのある部屋に移動する

後ろに治療班のメンバー、クリスティア達と続く


そしてベッドの上には30半ばぐらいの男性が寝かされている


「あなた、クリスティア様が来てくれたわ」


耳元で話すとなんと聞き取れるようで、ローリアの言葉に反応する


「おお、クリスティア様か。話は聞いている。我が領地を救ってくれたそうだな。ありがとう。何か礼をしたいのだが、こんな身体ではな・・・」

「あなた、それなんですけど・・」


ローリアは話だそうとするのをクリスティアが留める


「私から話して構いませんか?」

「ええ、ではお願いします」


ローリアの言葉にクリスティアはベッドに近づく

ちらりとローリアを見ると頷いてるのでクリスティアはフリッグ伯爵の耳元に近づく


「フリッグ様、それについては提案があります」


いきなり違う声が聞こえた事に驚くフリッグ伯爵だが声の主がクリスティアだとわかると落ち着いたようだ


「その声は・・クリスティア様か?久しぶりにクリスティア様の声を聞けて嬉しいぞ。惜しむらくは顔が見えない事だ・・・して提案とはなんであろうか?」

「フリッグ様の病気を治す方法が1つだけあります」

「なんと!?」


クリスティアの言葉にフリッグ伯爵は驚愕する


「して、その方法とはなんなのだ?」

「ユグドラシル薬です」

「--!?たしかにそれなら治るかもしれぬ。しかしそれは数百年作れたものはいないと聞く。もしあったとしても法外な値段であろう」

「今、ここにあります」

「な、なに!?本当か?」

「はい、しかしそれをユグドラシル薬だと判断できる人がいないのです。込められてる魔力からして相当な治療薬だと思うのですが」


その言葉にフリッグ伯爵は「たしかに」と呟きしばし沈黙する


「しかしそれしか方法はないのであろう?」

「はい、しかし私はこれがユグドラシル薬だと信じています」

「クリスティア様がそこまで言うなら飲もう。どの道他に方法も時間もない」

「ありがとうございます」

「うむ、しかしその薬出処などは確かなのか?」

「それについては大丈夫です。今私達に同行してくれている方がユグドラシル薬を調合しましたので」

「なんと!?」

「今は時間が無いのでご紹介は後ほどさせていただきますが、信用できる方です」

「なるほど、クリスティア様がそこまで言うなら・・してその薬は?」

「こちらに。ローリア様にお渡ししますね」


狐太郎はユグドラシル薬の瓶をローリアへ渡す

受け取ったローリアはフリッグの枕元へ近寄る

クリスティアは邪魔になると思いすでに下がっている


「あなた・・・」


ローリアはフリッグ伯爵の上半身をゆっくり支えながら起こし、蓋を開けたユグドラシル薬の瓶を伯爵の口に持っていき飲ませる

口と喉がまだ大丈夫だと言うのは幸いだった

慌てずにゆっくりとローリアは瓶を傾ける

狐太郎達は固唾を飲んで見守っている


そしてユグドラシル薬を飲み干ししばらくするとフリッグ伯爵の身体が鈍く蒼白く光る





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