特になし
Dの1
第1話
それになりたかった、こうして生まれたくはなかった。
「なりたかった」
自分はどうしてこの姿なんだろう?自分はどうしてこんな形なんだろう?
考えてても何もわからない、それになりたかった。
「なりたいのに」
でもなれない、この姿のままで生きていくことを強いられる。
僕は、私は、俺は、それになりたかった。
「でもなれないんだ」
きっとなれると信じて歩き出した、きっとなれるだろうと信じていたから。
やっぱりなれないかもしれないと歩みを止めたい。
歩みを止めたらここでおしまいだ。
「でも、なりたかった。」
いつもの通り道、いつもの信号機、いつもの歩道橋、いつもの電車、いつもの人たち
全部、それとは違う。
親から生まれたこの姿じゃない。
「きっとなれるんだ」
信じ続けて今日もまた歩き出していく
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