突然の死

 春輝は家の近くのスーパーで買い物を済ませた。

 帰り道で俺は事故にあった。

 居眠り運転と思われるトラックに気付かず渡っている制服を着た女子中学生を見つけた。


 そこで俺はバックと買い物袋を投げ捨て、全力で走った。普通の人間では間に合わないが俺は父さんと爺ちゃんにしごかれていた人間だ。


 間一髪のところで間に合い俺は中学生を突き飛ばした。


「ぐしゃ」という鈍い音が体から聞こえちゃいけないような音が聞こえ、次に体全体から力が抜けていく。


 そして俺は意識をそこで失った。





 ————————香奈恵side——————


 ソファーで寝ていると電話が鳴った。

 時計を見るともう7時だった。

 春輝が買い物に行ってから2時間も経っていた。でも春輝はまだ帰ってきていなかった。何かあったのかな?とか考えながら電話に出た。


 電話の相手は救命士と名乗り

「春輝さんのご家族ですか?」

 私は不思議に思いながら

「春輝は私の息子です。」

 と答えた。

 すると救命士は

「息子さんがトラックにはねられました。」

 と言った。


 信じられなかった。

 頭が真っ白になりながらも


「春輝は大丈夫なんですか!!」


 なんとか聞く事が出来た。

 だが救命士は少し沈黙し、

「絶望的です。」

 と短く答えた。


 私は泣き崩れた。

 明日は春輝の誕生日で久しぶりに家族みんなで祝おうと私は久しぶりに長い休暇を取った。

 進は休暇を取れなかったが明日は電話で話すと言っていた。

 今考えると春輝には負担をかけ過ぎていた。

 春輝は天才だった。いや、それ以上だったかもしれない。私たちを困らせる事なんてほとんどなかった。

 だからか、私たちは春輝が小学生の頃から家に居ない事が多かった。


 本当に春輝は幸せだったのか?

 そんな考えが浮かんできた。


 次は幸せに暮らして欲しい、そう神に願った。


 ————————凛side————————


 私はリビングでニュースを見ながら家族みんなでご飯を食べていた。

 そしたら急に速報というテロップと共に画面が切り替わった。


「ただいま速報が入ってきました。特別政治顧問、工藤春輝さんが都内でトラックにはねられ搬送先の病院で死亡が確認されました。」


 私はニュースを聞いた瞬間、頭が真っ白になった。そのニュースは何かの間違いであって欲しかった。

 だけど竜也から電話がきて本当だということがわかった。


 春輝は幼馴染で小中高とずっと一緒だった。

 私は中学の頃いじめにあっていた。春輝はいつも私の話を聞いてくれた。

 春輝の事を好きになったのはその頃からかな?


 明日は春輝の誕生日でこの思いに区切りをつける為に告白しようと思っていた。

 竜也に相談したら協力してくれた。


 でも伝えられなかった。会う事も出来ないと思うと胸が痛かった。せめて「ありがとう」って言いたかった。




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