第4話
「ねえ、貴方のことは、なんて呼べばいいの?」
しかし、目の前で、何かの問題を解いている彼は、全く反応しない。
(集中しているのかな。でも、いくら集中したからって、こんなにも周りが見えないものなの?)
それもそうなのである。この人は、さっきから大体1時間近くもこんな状態なのだ。
(やっぱり、私は、この人のこと嫌いだな)
そう、石川来栖が思った通りに、小鳥遊六花は嫌っているのだ。
その理由は至って簡単──
(裕福なやつは、みんなああなんだから)
私は、特にやることを失ってしまったが故に、彼の解いている問題をみていた。
(なに、この難しいの)
それが、私の中でのこの一問に対しての感想だった。
私は、問題を解いているところを見ていく内に、なんか馬鹿馬鹿しくなった。
(なに、こんな問題で大切な時間を失っているのか)って。
私は、勉強が嫌いだ。でも、成績は悪くない。
勉強が嫌いな理由は、勉強したところで、なにも得ることができないから。でも、成績がいいのは、高校へ進学するときに、特待生として入学して、なるべくお母さんへの負担を減らすことができるから。
あれから、もう一時間たったころだろうか。やっと、問題を解き終わったようで、こちらの存在に気づくと「っえ!いつからそこにいた」と言われた。だから私は、
「貴方が、その意味がわからない問題を解き出したところからです」
正確には違うけれど、そう答えた。
そして、なにか用事六花さん聞いてきた
私は、何故かこの人に六花さんと言われたことに鳥肌がたった。だから、訂正した。
「六花と呼んでください」
と。それと敬語を使われた気がしていたから 、そこも直してもらった。
結局私が当初聞きたかったことは聞けずじまいに終わってしまった。
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